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風間八宏(まとめ)/風間塾・革命前夜・「1対21」のサッカー原論

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■風間塾/風間八宏
▼革命前夜/風間八宏 木崎伸也
★「1対21」のサッカー原論 「個人力」を引き出す発想と技術/風間八宏
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●バイオグラフィ
革)風間八宏のキャリア
風間は18歳のときに代表に選ばれ、筑波大学卒業後に数々の実業団チームからの誘いを断ってドイツヘ飛び、計6年間ドイツでプレーした“欧州組み”の先駆者のひとりだ。清水商業時代の恩師である大滝雅良監督が「教えることは何もなかった。逆に自分が彼から多くのことを学んだ」と回想するように、幼い頃から飛びぬけた発想力を持つ“天才”だ。
サンフレッチェ広島時代には、キャプテンとしてJリーグの前期優勝(94年)に貢献しており、間違いなく日本サッカー界で世界とのトップとの距離感を最もよく知るひとりである。中田英寿氏は現役時代、風間の見識と洞察力に共感を覚え、nakata.netTVの進行役を任せていたほどだ。 16

(原論)私は、人より優れた映像記憶能力があるらしいということを、テストしてもらい知ることができました。 <中略 8桁の数字で出される数字を、連続して覚えていける。当時この能力があるのはイタリアでもバッジョとサビチェビッチ、あと一人だけだった>  124

革)第7章 異端者カサマヤヒロの分岐点 112
―― ひとり暮らしでしたか?
「そう。でも、ドイツのルールを知らないし、何をしていいかもわからないし、言葉もわからない。努力もしなかった。最初の1年間っていうのは本当に、いろいろと迷い、悩みました」
―― 1年目にそんなに苦しんだんですか?
「見るものすべてが新鮮で、スタートはものすごく良かった。セカンドチームでは10番をつけて、トップチームでも大事にされた。最初の練習試合でいきなり2ゴールを決めてね。でも、そこで努力をしなくなったんですよね」
―― どういうことですか?
「人間関係で、すごく引っ込み思案だった。言葉を話せないことを楽しめば良かったのに。もうひとつはある程度のお金を手にして、自分の中のプロつていうものが変わっちゃったんだよね。トップのマネージャーからは『来季は上でやる』って言われていたから、自分はまわりのチームメイトとは違うんだって思っていた。それでプロつていうのは、『自分だけ良ければいい』って勘違いしてしまった。監督の指示を無視して、自分がやりたいことをやっていた。でも、チームメイトはチームが勝つために一生懸命やって、実際、次の年に彼らはいろんなチームからオファーをもらってプロになった。今だからわかるのは、プロだろうがアマチュアだろうが、チームを勝たせる選手がいい選手だってこと。自分も小さい頃からずっとそうやってきたのに、いつの間にか意味のわからないプロフェッショナルっていう言葉に左右されて、自分だけが良ければいいんだって思ってた」
―― プロの意味を勘違いしていたと。
「勝つべきことを考えれば、もっと監督の話を聞くべぎだったし、もっと言葉を勉強すべきだった。1年後、レバークーゼンを出て行くときに監督から言われたのは、『いくら技術や才能があっても、チームのために戦わないヤツはいらない』って。それからは常にそのことを大事にしました」
―― まるでブラジル人選手のようだったんですね。
「今日は左サイドでやってくれって言われても、自分は嫌だから中に入っちゃうとかね。そんな選手、使わないですよね。最終的に先発から外されるようになった。でも、自分としては本気でやればやるほど、監督と衝突してしまう。考えていることの方向性が違うわけだから。当然、私生活も乱れちゃった。契約したとき、チームのマネージャーから『プロは心が削られるスポーツだから、プライベートでーま心を味ませなきゃいけない』と言われて、すごく高い家具をそろえてくれたんですよね。質のいい木製の家具で薪ノしで、キッチンも100万円くらいのものをつけてくれたり。でも、飲んだくれちゃった」
―― そんなに荒れていたとは。
「結局、1年日の終盤になってその言葉の意味がわかってきた。自分が孤独っていうこともわかってきた。話す相手も当然いないし、今みたいにメールもないわけでしょう? だからどうしていいかわからなかった。そこで追い打ちをかけるように初めて肉離れの怪我をした。そのときもちゃんと治療すればいいのに、わからないからそのままにしていたら『何やってんだ!』って言われて。やろうとすればするほど、だめになる。友達も1人もいない。例えば2点取って逆転して帰ってきても誰も褒めてくれない。逆に自分が失敗して負けて帰ってきたら、家が監獄みたいだよな。どんな家具をそろえていようが全然だめ。本当の孤独っていうのはこういうことかなって思った。入団した当初、車範根と食事をしたとき、カタコトのドイツ語でコミュニケーションをして、『ノイローゼになるなよ』って言われた。俺がなるわけないじゃんって思っていたけど、これはなるかもなって思った。1回もサッカーをやめようと思ったことはないけれども、やっちゃいけない人問なのかな? って思ってしまった」
―― よくそこから立ち直りましたね。
「マネージャーのシートさんの存在が大きかった。ドイツ語はわからなくても、やっぱり本気で聞こうとすると何を言っているかわかるんですよね。シートさんから『お前は人間でも選手でもない!』って言われて……」
―― 強烈な二言ですね。
「ちょうどシートさんはレバークーゼンを離れるときで、『お前なんかどこにもやれない。だから俺についてこい』って。で、3部から2部を目指していたレムシャイトに移籍することになった。そのタイミングで学生時代から交際していた今の奥さんに、『結婚してドイツに来てくれないか』ってプロポーズしました」
―― まさに再スタートですね。
「それでシートさんと『何からやる?』ってことになった。『お前は本気になってない。なんでドイツへ来て、俺をわかれ、俺をわかれってやるんだ? なぜこっちのことをわかろうとしない』と言われた。まずドイツ語の先生をつけるところから始めました」
―― 2年目から心を入れ替えたわけですね。
「心を入れ替えるっていうよりも、考え方を変えた。1年目はサッカー選手としてしか考えられなかったけど、やっぱりサッカーだけやっていればいいっていうのは違う。2年目からは言われることをすべて受け入れようと思った」
―― なるほど。
「たとえばクラブのイベントにも、怖くても出たりとか。町の肉屋さんの抽選会に行ったりね。言葉が100%わかるわけじゃないから怖いんだlナど、言われたことをすべてやった。プレーもそう。それをやりだして、ただのサッカー選手じゃなく、ここの住民になろうって思ったの」
―― よく変わることができましたね。
「人は変わるんだよ(笑)」

革)―― 取材後記
まだ筆者がドイツに住んでいた、2004年のことだ。
ハンブルガーSVの試合直前、日本から解説の仕事で来た風間八宏さんとプレスルームで立ち話をしていた。
するとキッカー誌のセバスチャン・ボルフ記者が近づいてくるではないか。彼は興奮しながら、こう言った。
「ひょっとしたら、あなたはカザマではないか?」
ボルフ記者は今でこそハンブルガーSVの担当をしているが、もともとはブラウンシュバイクの出身で、地元クラブの大ファンだった。当然、そこで中心選手だった風間さんのことを知らないわけがない。子供のときのヒーローに会えたことにボルフ記者は感激し、自分の思い出を語り続けた。もう記者というよりは、完全に1人のフアンに戻っていた。


●ヒント
塾 -- 人間は、自分ができないと思ったことはできません。
自分ができると思ったことはたとえ周りに無理だと言われてもできる。
だからこそ、非常識には価値があるのです。

塾 -- まず「1」を身につけ、飛躍へとステップアップする 40
大切なのは、まず「1」を知らせること。知っているようで知らないことはたくさんありますから、まずは「1」をしっかりと知る。それから「2」、次に「3」を飛ばして「4」という具合に、どんどんスピードを上げて知識を増やしていけばいい。

塾 -- 失敗は忘れ「成功体験」だけを積む 54
私がいつも言うのは、失敗なんか忘れていい、成功したことだけ積み重ねろということです。それは練習でも試合でも同じです。負けた試合でも、成功体験を持たせることはできるわけです。成功体験が出てこなければ、やり方を変えればいい。だけど出てきている以上、それを曲げる必要はありません。それを曲げると、指導者としての迷いになってしまいます。
自分を信じきれるかどうかです。

革)サッカーが速くなると、走っている暇はなくなる。 211

革)第1章 日本サッカーの「常識」を疑え 14
―― オシムの言葉 ~プロは欧州と日本の違いを明確に説明すべし
2010年南アフリカ・ワールドカップに向けたスカパーの特番で、イビチャ・オシムが投げかけた言葉 ――
「毎週Jリーグと欧州リーグを見ている人が、これが同じスポーツか? という疑問を待ったときに、サッカーの解説者には答える責任があると思います。なぜ違うように見えるのか、ちゃんと説明しなければいけません。そしてなぜ日本人選手が同じようにプレーすることができないのか、説明できるだけの知識と責任感を備えていなくてはいけません」

革)サッカーはボールを持っている選手が一番偉い。 47

革)日本人選手がヨーロッパでプレーするうえで、何が大切だと考えていますか?
「それはすごく難しいテーマのようで、簡単なテーマだと思う。『勝たせてくれる選手』だったら、絶対に試合に出られますよね。それと、自分の反省を含めて、馴染めるかっていうこと。中田英寿とか長谷部誠とか、言葉を覚えるとグーンと伸びる。言葉を早く覚える選手っていうのは、早く馴染める。それも順応力のひとつだと思う」
―― やっぱり言葉は大事ですか?
「言葉を覚えないと、借用を得られない。監督が先発から外す理由にもなる。アピールって言葉は好きじゃないけど、自分はチームの役に立つんだよっていうことをうまく表現するやつが生き残っていく。逆に、言うことを聞きすぎると、おとなしいって理由でベンチからも外される。自分はこれができて、これを出すとチームのためになりますよ、って自然に出せるのがいい選手」

革)ボールから一番遠くにいる選手が勝負を決める 212
どんなにゴール前のスペースが限られていても、必ず攻略できる  ―― そう考えるのが風間さんのサッカーだ。実際、フロンターレがそれをJリーグで実践している。とはいえ、攻撃のときに使える場所は広いほどいいに決まっているし、逆に守備のときは相手が使える場所は狭い方がいい。
そこで大切になるのが、FWとDFの第一歩だ。
風間さんは言う。
「FWの一歩で、攻撃のすべてが変わる。逆にDFの一歩で、守備のすべてが変わる」
たとえば、こんな場面を想像してみよう。自分たちが攻撃しているとき、我らがエースのFWカザマが一歩踏み出して、相手DFの背中側にまわりこんだとしよう。すると何が起きるか? 相手DFはボールとカザマを同時に視野に収めるために、立っている位置を少しだけ後ろに下げるに違いない。すなわち最終ラインが下がるということだ。最終ラインが下がれば、その分、中盤に使える場所が生まれる。
実際にはこんなに簡単に最終ラインを下げさせられないが、基本的な方法論は同じだ。FWはあらゆる駆け引きを仕掛けて、相手のDFラインを下げることが求められる。
一方、自分たちのDFについては、この道のことがあてはまる。
相手FWとの駆け引きの中で、簡単には最終ラインを下げず、相手に場所を与えないことが大切だ。
「ボールから一番遠くにいる選手が勝負を決める」
どんなにボールから離れていても、たとえ足を止めることがあっても、思考を止めることは許されない。

革)予感を働かせる
(風間は)ちょっとした空き時間があるとDVDをチェックしていた。ヨーロッパの試合を録画したヴィデオだった。
「何も起きない時間帯」と「何かが起こりそうな時間帯」を見分けるのが早く、その試合の本質をあっという間に理解してしまう。忙しい中、こうやって見ることで、常に新しい情報を得ている ――  146

革)疑問をごまかさない
(木崎)おまえはまだ『わからない』と言うだけマシだ。サッカーの経験があると、自分のわかる範囲だけを切り抜いて理解したつもりになってしまう。それでは本当に何が起こっているか、わからない ――  157

革)信念を貫く 178
仮に点を取れず0対3で負けたとしましょう。そのときに相手を受け入れるサッカーに切り替えたら、全部相手の個人の力が生きることになるし、向こうの戦略が生きることになる。自分たちが曲げてしまえば、相手主導になってしまう。
『勇気を持つ』『信念を持ってやり続ける』ということに対して、本当に強い意志を持たないといけない。
自分たちが1対0で勝ちたいチームなのか、3対0もしくは5対0で勝ちたいチームなのか。5対0で勝つことを望むのであれば、絶対に曲げちゃだめだし、望むことに対してもっと食欲になっていい。やめてしまえば何も起こらないし、やり続ければ起こる。バルサの話ばかりするのは好きじゃないけれど、結局バルサはそうなんですよね。タイトルを勝ち取れない時期もあったけれど、彼らはやめなかった。その先に何があるのかが明確になっていれば、やり続けることはそう難しくない。それをどう持てるか。その望み方が問われていると思います」

革)風間さんにとって“怖いチーム”とは?
ボールを待ったときにチームが生き生きするかどうか。そういうチームは怖いし、うまいなって思います。

革)ゲームを見ていて“よいプレーヤー”に気づくには?
一番分かりやすいのは、何回もボールを受けている選手を見ること。その選手は外すのがうまいと考えていいと思います。なんであの選手はパスを何度も受けられるのか? と見ることです。 187

(原論)コーチとして指導していた学生の1人に「子どもたちに教えて、子どもはうまくなっているのに、君はうまくなっていないだろ。君もうまくならなかったらもったいないな。君ができてないのは、ずっと君のやり方でしかやってないからであって、聞く耳を持たないからだ。もっとうまくなろうとすればいいじゃないか」  180

(原論)「僕はこのプレーがベストだと思ってサッカーをしてるのに、監督はこうやってくれと、別の要求を出してきます。 ( 中略 ) 」
 <中略 言いたいことはそれで終わりか?> 
「いいんだよ、そんな君の能書きは。君の理想論のサッカーを聞いてるんじゃない。君はプロなんだろ? じゃあ監督の指示を完璧にこなせばいいんだよ。それをやらなかったら君が悪いんだ。その代わり、その指示をこなすだけで終わりなら、未来のない、どうってことのないプロ選手だ。その先に君が色をつけてチームを勝たせればいいじゃないか。それができる選手は、どこのポジションでもどこのチームでも活躍できるんだよ。君の勝手なサッカー論を持ち出して勝手にふて腐れても仕方がないだろ」   29

(原論)実は疲れてくるというのはよい面もあって、これ以上疲れるのが嫌だからと、選手は一番合理的なやり方を自分で考え出すのです。合理的なことを考えるということは、高い質の技術を見出せるということでもあります。  70

(原論) <中略 やれることが増えると> 重要になってくるのは「判断力」です。 100

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羽生善治 ―― 面白いもので、たとえば私はプロになって十一年なんですけど、やっぱりその経験を積んだ分、判断する材料は非常に増えたと思うんですけれども、逆に言うと臆病になる材料もそれだけ増えたんですよね。だから経験を積めば積むほど材料は増えていくんですけれども、それを克服していく力もそれに伴ってつけていかなくてはいけないということがあるのです。たとえばたくさんの棋譜とかを覚えていても、全部覚えていなければいけないとか、そういうふうに思っているとやっぱりしんどい。最近はもう別にこれはもう覚えなくてもいい、たとえ覚えてなくても、またそのときに自分なりに考えて指せばいいし、それがすべてではないから、というふうには思っているんですけれども。(盤上の海、詩の宇宙/102)
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●革)サッカー観戦術
風聞流サッカー観戦術1 60
「TV画面の四隅を意識しながら見る」
サッカーをTVで見るとき、プロがどこに注目しているかというのは、観戦者にとってすごく興味があるところだろう。では、フジテレビの解説者として熱狂的な人気を誇った風間八宏さんは、画面のどこを見ているのか? そんな質問をぶつけたところ、風間さんから返って来たのは、聞いたこともないような“視点”だった。
「TVだと、スタジアムみたいに全体を見渡せないだろ? だから、ボールを見つつも、画面の四隅に誰がいるかを見ておくようにするんだ。当然、選手が映ったり、消えたりするんだけど、より広い範囲が見えるようになるよな。そうすると画面には映ってないところまで、わかるようになる。TVでサッカーを見るときは、無意識のうちにそうやっているよ」
これをやろうと思ったら相当な集中力が必要で、のんびり見ようとするときにはそぐわないかもしれない。だが、サッカー観戦に慣れた上級者なら、腕試しとして挑戦してみると、別の世界が見えてくるはずだ。

風間流サッカー観戦術2 100
ボールが動いている問に、ゴール前を見ておく
風間さんがサッカーの試合を解説していると、まるで予言者のように「チャンスですよ」とつぶやくことがある。優れた解説者と、そうでない解説者の差は、やはり「いかに次に起こることを予測できるか」にある。
なぜ、風間さんはチャンスを予測できるのか? ポイントは「ゴール前のチェック」にあった。
「これはサッカーをプレーしているときも同じなんだけど、ボールが芝の上を転がっているときというのは、何も起こらないよな? もっとわかりやすく言うと、選手がボールを持っているときはいろんな選択肢があるけど、ボールが転がっているときは、ボールは行き先に向かうだけ。いきなり90度に曲がったりはしない。だから、ボールが転がっている間に、他の場所でマークがどうなっているかを見ておくんだよ。特にゴール前。ゴール前でフリーになってるような選手がいたら、得点のチャンスになる可能性が高い」
選手がパスを出して、他の選手が受けるまでの時間は本当に短く、その間に他の場所をチェックするのは簡単ではない。だが、これはプロでも難しい作業なのだ。まずは気軽に「プロ中のプロはこうやって見ているんだ」と感じることから始めればいいだろう。

風間流サッカー観戦術3
 「背番号が見えるかを気にする」 138
まずはわかりやすくするために、少し場面を限定したい。どちらかのチームがサイド攻撃を仕掛けて、ボールがTV画面の奥にあったとしよう。そのとき守っている方のチームが、どの程度「崩されやすいか」を一瞬にして理解する方法がある‥…・と風間さんは言う。
「ぱっと見て、守っている選手の背番号が、どれくらい目に飛び込んでくるか。もしたくさん背番号が見えたら、それだけ守備者の目が届かない『背後』ができてしまっているということ。攻撃側からしたら、そこがチャンス。背後に入り込めば、一気に崩せる可能性がある」
逆に言えば、ポールが奥にあるのに、守備側の背番号があまり見えなければ、体の向きをうまく作って、背後を消せているということ。慣れてくると、背番号が見える角度によって、「これなら大丈夫だ」とわかるようになる。さらに慣れると、今度は手前にボールがあるときにも、守備側が顔をどんな角度でボールに向けているかで、「崩れやすいか」がわかるようになる。
あくまで大雑把に捉える一瞬の判定法だが、試合展開が速くなるほど効果を発揮する。

風間流サッカー観戦術4 176
選手がボールを持ったときの選択肢を3つか4つ想像する
「自分は現役のとき、中盤で試合の流れを読む役目だったので、相手がどんなプレーをしてくるかを常に予測しようとしていた。そのためには選手がボールを待ったとき、どんなプレーをする傾向にあるのか、頭に入れておくことが大事。だいたい3つか4つを意識しておく0たとえば、ワンタッチでプレーすることが多いとか、この選手はサイドチェンジのような長いパスはほとんどないとか。そうすると、次に何をするかだいたい予測できるようになる」
さらに風間さんは続けた。
「もっと踏み込んで言えば、選手1人ひとりの性格まで見る。イライラしやすいとか、安全にプレーしすぎる傾向があるとか。そういう人間観察を、現役のときからやっていた。サッカーにおいて、すごく大事なこと」


●革)固定観念を覆す 
―― 8つの「日本サッカーの誤解」 18
日本人選手はすでに技術があり、新しいことを吸収しようとする意欲もある。
あとは“発想の転換” ―― これさえできれば、日本サッカーは驚くほどの進化を遂げられると、風間は考えているのだ。
では、いったいどうすれば発想を変えられるのか?         それを実行するには、日本サッカー界が常識だと思い込んでいる「誤解」を、一つひとつ解きほぐしていく作業が必要になる。

8つの「日本サッカーの誤解」
①サイド攻撃は本当に効果的なのか?
④攻撃にスペースは必要なのか?
⑨足元へのパスはダメなのか?
④日本式ドリブルの間違い
⑨首を振っていても、大切なものが見えているとは限らない
⑥マグネット式布陣論の落とし穴
⑦本当の組織力とは何か?
⑧簡単な答えをほしがってはいけない

①サイド攻撃は本当に効果的なのか?
日本代表やJリーグの試合を見ていると、たいていこんな攻撃のパターンが目に入ってくる。
DFラインからボールを受けたボランチが、サイドにいる選手へ“無条件”にパスを出し、そこからクロスを上げるという攻撃だ。
ここで“無条件”と少しばかり大げさに書いたのは、中央のエリアが空いているかを確認する前に、サイドにいる選手にパスを出してしまう ―― という習性が日本サッカーに見られるからだ。
風間は“ボールを受けるときの体の向き”という視点から、この傾向を指摘する。
「Jリーグで中盤や最終ラインの選手を見ていると、ボールを持った瞬間に横を向く選手が多い。つまり、最初からサイドにパスを出そうと思っているということ。これでは相手の守備陣にとって、怖い攻撃にならない。横にはいつでもパスを出せるのだから、ボールを持ったら正面を向くべき。そうしたらパスを前にも横にも出せるから、相手は容易に飛び込んで来られなくなる。もしかしたら、いつの間にか日本サッカーには、崩せない何かがゴール前に存在しているっていう先入観が植えつけられてしまったのかもしれない」
もちろんJリーグに限らず、世界のどのリーグを見ても「サイド攻撃」は、定石のひとつだ。だが、日本の場合、あまりにも条件反射的に、サイドから攻めようとするきらいがある。
2008年から2012年4月まで、風間は筑波大学蹴球部の監督を務めていた。就任1年目、いきなり大学選手権で準優勝に導き、MFの永芳卓磨ら4人が12のFC岐阜に入団。それ以降も、毎年Jリーガーを輩出している。
風間は就任するとすぐに、学生たちが”まずはサイド攻撃”という先入観を持っていることに気づかされた。
「せっかく相手の守備が崩れているのに、サイドにパスしてしまうことがあった。選手たちには常に言っているんですが、サイドなんていつも空いているものなんです。相手がフラフラになっているんだから、中央
からすっと入っていけば一発でシュートシーンを作れる。なのに外側にボールを運んだら、時間を作って相手を助けているようなもの。これではスローテンポなサッカーになってしまう」
これは大学に限った話ではない。残念ながら日本代表でも、Jリーグでも同じである。日本代表はアジアのチームと試合をするときにポゼッション率が高いと言われるが、”中央の山”を避けて、左右のサイドの空いているエリアに逃げのパスを出しているだけ、ということが多い。Jリーグの試合が退屈な展開になっているときは、たいてい両チームが単純にクロスを放り込み合っている場合だ。当然、クロスからゴールが生まれることもあるが、さあ今から上げますよ、というクロスだと、相手DFに読まれてしまい、簡単にはね返されてしまう。

・サイド攻撃は万能ではない。ゴールは3辺から攻めるべき
・スペースがなくても、人を外せば攻略できる
・動いている選手の足元へのパスが最も難しく、最も効果的
・ドリブルは自分が動くのではなく、相手を動かすイメージで
・育成では、技術だけでなく、「目の才能」 の発掘が重要
・個人戦術がなければ、組織など成り立たない
・サッカーは相手によって答えが変わる


●新常識 ~バルセロナの分析と応用
革)第3章 風間八宏が解き明かすバルセロナの新常識 62
「守備をしている側が相手より優位に立っているという考え方が、90年代にあった。でも、それだけでは勝てなくなり、攻撃と守備両方のバランスを考え出したのが2000年あたり。そして、そういう考えをすべて攻撃によって凌駕したのがバルセロナなんです」 64

新常識1 数の論理は通用しない
守備側の選手からしたら、数的有利を作るというのは、戦術の基本中の基本になっているだろう。だが、バルサの選手たちは狭いエリアでボールを受けて、相手を引きつけることで、あっという間にこの足し算、引き算の論理を破壊することができる。守備側は囲い込んでいるようで、逆に引きつけられて守備の組織が崩されているのだ。

新常識2 相手が速いほどプレスは簡単にいなせる
バルサは相手の足の速ささえも利用してしまう。ボールを取りにきたところをいなせれば、相手はすぐに止まれず、次のプレーに移るまで時間がかかる。急に止まれないのは、車も選手も同じ。相手の足が速いほど、かわしたときに効果が大きくなる。
「相手がボールを取りにきても、ぜんぶ逆を取ってしまう。だから相手の身体能力が高くても関係ない。足が速い選手ほど、かわされたときに遠くに離れてしまい、プレスに戻るのが遅くなる」

新常識3 フリーになるためにあえて足を止める
普通の選手からしたら、パスをもらうためには動かなければいけないと考えるだろう。基本的に間違ってはいないのだが、メッシの場合、あえてまったく逆のことをしてフリーになることができる。
動き出そうとして、急に立ち止まるのだ。まさに発想の転換である。
動かないことには、大きなメリットがある。下手に動くと、相手を引き連れてきてしまい、ただでさえ狭いスペースがもっと狭くなってしまう。あえて立ち止まっていた方が(もしくはゆっくりと歩くくらいの方が)、相手が壁丁に動いてくれて、ボールが来たときに逆を取りやすい。
「メッシは止まり方が絶妙。シャビとイニエスタがよく動く分、メッシは止まることでフリーになっている。受ける技術というのほ、その人の特長によって、やり方もそれをやる場所も変わってくるんです」

新常識4 スカウティングは無力化できる
2011年のチャンピオンズリーグ決勝のとき、リベンジを果たすために、おそらくマンチェスター・Uはとことんバルサをスカウティングし、万全の対策を練ってきたはずだ。だが、一度は追いついたものの、結局は計3点を取られての完敗だった。
「バルサをスカウティングしてもあまり意味がない」と風間は見ている。
「今までの考え方では、守備をする側があらかじめ準備しておけば、どんな攻撃にも対応できると見られていた。でもバルサは相手を見てサッカーをしていて、相手が準備したことを上回れるんです。だから、バルサをスカウティングしてもあまり意味がない」
では、そういうチームに勝つ手立てというのは、もはや存在しないのだろうか? ひとつだけ明確な答えがある。風間は言う。
「バルサに勝つには、少しでも自分たちがボールを持つ時問を長くしなければいけない。バルサにボールを65%持たれて、自分たちが35%だったら、戦略なんて何も成り立たない。でも、55%対45%なら何かが起きるかもしれない。まあもっと簡単に言えば、バルサの選手たちよりもうまくなればいいということ」


●日本サッカーに/フィジカル
革)第4章 日本代表が身につけるべき武器 74
「一般的に日本人選手は、韓国やオーストラリアよりフィジカルが弱いと言われてきましたが、それが先入観だということがわかった。選手にストレスを与えないで、自分の特徴を出せる場所でやらせたときに、本田圭佑は相手より強かったですよね? 長友は誰よりも走れたし、吉田麻也はヘディングが強かった。それぞれの特徴において、全部フィジカルで上回っていた。日本の選手がスピードで振り切られる場面も、韓国の選手にぶつかって飛ばされる場面もほとんどなかった。自分の特徴を出せば、日本のフィジカルは強いんですよ」
これまで日本のフィジカルが弱いという印象があったのは、戦術面が負担になっていたからだ。
「ヨーロッパや南米の相手に対して、こちらが受けてサッカーをしたら、相手の得意なカが出て、それがフィジカルの差として現れる。でも、自分たちが主導でサッカーをやろうとしたら、十分フィジカルで上回れることが今回わかった。もちろん強豪国相手に、受けずにサッカーをやるのは簡単ではないですが」 76


●日本サッカーに/技術および意識の解像度
革) ―― 面から点へ 87
「サッカーの精度を「面」ではなく、「点」で合わせるサッカー( 中略 )1メートルあればサッカーができるのか、3メートルないとできないのか。あるいは50センチでできてしまうのか。そこを突き詰めることが、これからは求められる」

●日本サッカーに/無類の“発想力、工夫力”を活かす
革命へのステップⅣ
 規格外の夢を抱く
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第9章 日本はバルセロナを超えられる 140
―― 日本人はすごく発想力がある
筑波の練習は幼時だ。「止める・蹴る・運ぶ」の基本技術をサッカー選手の大前提として全員に求め、それを身につけたうえで「人を外す」に取り組む。
筑波の練習の一例をあげよう。横に並んだボランチ2人がパスを交換し、その前に敵2人にマークされたMFがいる。MFは人を外す動きでフリーになり、その際間を見逃さずボランチがパスを出す……という練習だ。これを突き詰めると、サッカーがものすごく速くなる。
ただ、考えてみれば、バルサは基本的にボールまわし(鬼2人が輪の中に入って、囲んだ5人でパスをつなぐ)といった基本練習しかしない。なぜ筑波は、こういった特殊な練習をするのか?
風間はこう説明する。
「バルサは歴史を積み重ねた土壌があって、そういうことを教えないでもできる子供がたくさんいるんです。だから、バルサにとっては、それをできる子供を探すのが一番の仕事。
一方、まだ日本には新しいサッカーの発想自体がないから、発想を教えなければいけない。もちろん質を高めるには“探す”こともものすごく大事です。ただ、やはりそのときにも、探す側に新しい発想がなければ、それに適した才能を持った子を見落としてしまうかもしれない。プレーするうえでも、育成のうえでも、今の日本は古い発想を捨てて、新しい発想を持つことが必要なんです」
その新しい発想とは、わかりやすくいえばバルサ的サッカー、風間的にいえば「ピッチのどこからでも相手を叩きのめす」というサッカーだ。
風間が監督に就任して4年日を越え、全員が1年生のときからその指導に触れた選手になったことで、こういう発想は全員に浸透しつつある。
「筑波では面ではなく、点で合わせるサッカーをしているので、1人でもついていけない選手がいると成立しなくなってしまう。ビジョンが壊れてしまうんです。バルサの強みは全員が発想を共有していること。筑波でもまだ人数は限られていますが、だんだんと共有できるようになってきました。でも、練習ではできているのに、試合では1度のミスでボールを扱う技術に自信が持てなくなり、パスを受けたがらなくなるということも起こる。そうするとやっぱりチームが成り立たなくなる。そこは心を扱う技術でもあるので、経験を積み、常に高めていくしかありません」
( 中略 )
「日本人は自分で考えて問題に取り組むのが得意なので、発想さえ与えてやれば、すごく変化を起こしやすい。そういう学生たちを、筑波で何人も見てきた。実は日本人というのは自分たちが気がついていないだけで、すごく発想力があるんじゃないでしょうか」

革)“オフェンスこそ覇道”と発想を転換する 186
(~ボールを扱う技術、身体をうまく使う技術、分析・洞察力)
「日本の選手っていうのは、頭が良く、俊敏性があります。攻撃側に常に主導権があるっていうこと、常に自分の意志でやればいいんだよっていうことを教えれば絶対にプレーの発想が変わる。ボールを自由に扱う技術、敵を認識する目、体をイメージ通りに動かす技術、その3つがあると相手を自由に操れる」


●日本サッカーに/Jリーグへの提言
革)第5章 Jリーグはもっと強くなれる 90
A.なぜJリーグの攻撃は単調なのか?
Q.クロスとミドルシュートを防がれると、攻め手がなくなることが多いから 91

なぜJリーグの多くのチームは、クロスとミドルシュートが多くなってしまうのか? それは『サイドは空いているスペース』という認識があり、『中央は狭い』という認識になっているのではないでしょうか。したがって、中盤でボールを受けたとき、ほとんどの選手がスッと横を向いてしまうのです。
これは『技術がない』と言っているわけではありません。Jリーグには技術がある選手がたくさんいる。
でも、『サイドから攻めるべき』という先入観が刷り込まれているのか、相手の状況に関係なく、まず横を見ようとする傾向がある。これでは攻撃が単調になって当たり前です。

個人の持っている長所で戦うのではなく、チームでやろうとすることを素直にやるだけのサッカーになってしまう。チームの考え方は大切だけれども試合中の判断基準は各々が持つべきだと思います。
パスというのは、遠くから近くに変更することはできる。でも、近くから遠くに変更することはできない。ボールをもらう前から、顔を上げて50メートル先を見ておかなければ、そこにパスを出すことはできないですが、逆に見ておけば、50メートルのパスも10メートルのパスも出せる。
要するに、選択の仕方です。Jリーグの技術のある選手は50メートルの距離も蹴れるのに、10メートルの中からしか選択をしない印象がある。50メートルを蹴れるのなら、その距離の中で選択しなかったらもったいない。みんなゴールが大事だと口では言っているのに、そこを見ていない。すぐに外を向く。外というのはゴールからものすごく遠いところです。
選手たちが『見ている場所』と『見ている距離』を変えるだけで、Iリーグは劇的に変わると思います」

ひとつの方法だけにとらわれると、技術とアイデアを増やしていくことはできない。 99

Q.なぜJリーグはパススピードが遅いのか?
A.パスの狙いどころが、点ではなく、面になっているため
風間「現在のJリーグはヨーロッパのトップクラブに比べると、それほどパススピードが速くないのは確かでしょう。これも選手たちが『見ている場所』に関係しています。
Jリーグの試合を見ていると、スペースにパスを出すケースがものすごく多い。スペースヘのパスは、相手がいないのだからつながりやすく、何にも問題がないように思えます。もちろんサッカーの攻撃には、スペースへのパスも効果を生みます。
でも、考えてみてください。ボールが速すぎたら、選手は追いつけませんよね? だからスペースにパスを出す場合、必然的に『パスのスピード』は『選手の走るスピード』よりも遅くしなければいけません。
じゃあ、パススピードを上げるには、どこを狙ってパスを出せばいいのか。答えは、選手の足元。どこに動いても足元にズバッとパスがくれば、転がるボールを追いかける必要がないので、理論的にはいくらでもパスを速くできる。当然、ボールを止められるかというトラップの技術が問題になるので、技量によりますが。
足元へのパスというと、止まって受けると思う人が多いかもしれません。ここでは、そういう先入観を捨ててください。動いている選手、もしくは立ち止まっている選手が、意図を持って足元から足元にパスをつなぐと、いくらでもパスを速くできるので、ものすごくサッカーが速くなります。

A.Jリーグ誕生時から変わったと思うことは?
Q.現実の把握、適切な分析が行われると同時に夢が小さくなった。Jリーグでも世界一のクラブを目指してほしい。 96


●システム論の陥穽
革)第2章 システム論を語る前に理解すべきこと 50
「優勢な方のチームが攻めると、もう一方は守らなければいけない。このときシステムは、どうなると思いますか? 守る方は基本的にマークしなきゃいけないから、ピッチに描かれるのは、攻めているチームのシステムですよね。つまり、どんなに『こういうシステムでやろう』とあらかじめ考えていても、結局、自分たちが劣勢になったら、相手のシステムの形になってしまうんです。システムを考えるときには、両チームの力関係まで考慮して、作らなければいけません」

「マグネット式のチームは、前後左右が同じ『均等バランス』でしかない。そういう相手は振り回してやれば、簡単に崩れるんです」

「今の日本では、なぜか選手も『チームの全体像を知らなきゃいけない』という風潮になっている。でも、一部の天才を除いて、選手がピッチの全体像を見られるわけがないんですよ。逆に言うと、監督というのは、選手が全体像がわからなくてもプレーできるように、個別に指示を出さなきゃいけない。たとえば右サイドの選手には、『目の前にいる相手を抑えろ。攻撃になったら、10本センタリングを上げろ』と。そういうことを11人全員に言えば、3-5-2だろうが、4-4-2だろうが、ワントップだろうが関係ないんです」

サッカーの戦術・戦略というのは、3つの要素から成り立つ、と風間は考えている。①個人戦術、②グループ戦術、⑨チーム戦略の3つだ。
まず『個人戦術』は、「20回相手からボールを奪う」といった個人に与えられたタスク(役割)のことだ。
監督はそれぞれの選手の武器を考慮し、各自に個人戦術を与えて、ひとつのチームにする。
当然ながら、その選手が実行できないような個人戦術を与えても意味がない。たとえば日本代表の岡崎慎司に「中央でのポストプレー」「サイドに流れるプレー」「前線からの守備」のすべての役割を求めるのは酷だろう。
「それは数学も国語も社会もやれって言うようなもの。自分だったら、『体育だけにしてください』って言い返したくなるでしょうね(笑)。個人戟術は選手の武器を生かすためのもの。選手を窮屈にさせるためにあるわけではないんです」
2つ目の『グループ戦術』は、「チームとしての武器をどう出すか」というコンセプトだ。どのチームにも、攻撃の中心を担うエースがいる。そのエースが武器を生かせるように、まわりがサポートしなければいけない。ときにはチームメイトのために犠牲になる。それがグループ戦術だ。
3つ目の『チーム戦略』は、広島の清水戦やヴェルディ戦で出した例のような、「いかに相手の武器を出させず、自分たちの武器を出せるようにするか」ということ。対戦相手によって変わる部分だ。「たとえば、相手に押し込まれたとしましよう。このときボールを『持たせている』と考えるのと、『持たれている』と考えるのでは違いますよね? 少なくとも、意識の中で『持たせている』 っていう戦い方をしなくちゃいけない。バルセロナとやったら、自分たちがボールを持つことは難しい。だけど、ボールを『持たれている』じゃなく、『持たせている』っていうことは可能かもしれない。メッシに対しては、負けないことが勝ち。ボールを持たせても、パスを出させればいいんです」
風間監督は「日本はもっとサッカーを踏み込んで考えるべき」と感じている。
「選手にはできることとできないことがあって、できることばかりでやらせてあげれば、チームはうまくいくんですよ。だけど、相手がいるから、そうはいかない。そこをどう生かすかが戦術・戦略。マグネットを並べるだけのシステム論じゃ何も見えてこない。やられないための最大限のサッカーをやるのではなくて、このチームの最大限を引き出すために何をするかっていうことから考えていくと、自然に戦術・戦略は決まってきます」

革)1人ひとりでやるのがサッカー 183
木崎 ―― Jリーグで攻撃的なサッカーを志向する監督が増えてきたと思います。ただ、やはり現実の壁にぶつかって、リスクを考慮して守備的なサッカーに切り替える例が多いです。
「そこで重要なのは、信念だと思います。今年の筑波大学では3バック(布陣は3-4-3)にしているため、『サイドを狙われませんか?』とよく訊かれたけれど、それは選手をマグネットに見立ててホワイトボードの上に並べたときの話ですから。
そういう機会は何回あるんでしょう? 
自分たちがボールをキープしてゴールに迫ることができていれば、弱点をつかれるシーンが1試合で2、3回しかないと思う。それをリスクとは考えない。それよりも、もっとしっかりボールを持って2回を1回に、1回を0回にしようということに力を注ぎたい。


●ポジショニング
塾 -- ポジショニング 34
私が考える「ポジショニング」というのは、選手一人ひとりについてです。大切なのは、自分がどれだけの視野を確保できるのか。例えば、ボールと同じラインに立てばもちろん角度はなくなりますし、狭い中でしか状況を捉えることができません。
ですが、少しだけ「身体を開く」ことで、90度~120度、あるいはもう少し大きな角度(視野)が見えるようになります。その中でのポジショニング、これは半歩、一歩の世界なのですが、ここのところで「自分が今何が見えるのか」。そして自分は後ろを見なくてもいい、前だけでサッカーをすることができるようなれるかどうか。これが私の言う「ポジショニング」だと理解していただきたいと思います。

塾 -- ポジショニング実例 34
言葉で伝えるのは非常に難しいですが、このちょっとした、「半歩」もいらないくらい足を少し動かすだけで、見える世界は大きく変わります。
例えば、クロスボールのときによく「ボールウォッチャー」という言葉を使います。これは、守備側の選手が自分の背番号をマークする選手(攻撃側)に見せてしまっている状態です。
その場合、「自分には見えない部分」が生まれてしまいます。ですが、それを半歩ほど身体を開くことで、見えない部分が減る、もしくは相手に背中を見せなくてすむようになります。
こういったところも含めて、やはり自分の「ポジショニング」が勝敗を左右します。「見える」という状況を、どれだけ確保できるのか。これによって、その選手の力量が決まってくる、あるいは変わってくるということになります。

この「ポジショニング」という視点で、例えばブンデスリーガや、Jリーグでもいいです。いろいろな試合を見ていくと、この選手はいったい何が見えているのか、あるいはなぜここをやられてしまったのか、あるいはなぜここに気づかなかったのかなど、その辺のところが非常によくわかると思います。
「うまい選手」というのは、常にそこのところが的確であり、自分の「ポジショニング」が成立しています。そのような見方をしてもらうと、またサッカーがおもしろくなると思います。

革)ボールから一番遠くにいる選手が勝負を決める 212
どんなにゴール前のスペースが限られていても、必ず攻略できる  ―― そう考えるのが風間さんのサッカーだ。実際、フロンターレがそれをJリーグで実践している。とはいえ、攻撃のときに使える場所は広いほどいいに決まっているし、逆に守備のときは相手が使える場所は狭い方がいい。
そこで大切になるのが、FWとDFの第一歩だ。
風間さんは言う。
「FWの一歩で、攻撃のすべてが変わる。逆にDFの一歩で、守備のすべてが変わる」
たとえば、こんな場面を想像してみよう。自分たちが攻撃しているとき、我らがエースのFWカザマが一歩踏み出して、相手DFの背中側にまわりこんだとしよう。すると何が起きるか? 相手DFはボールとカザマを同時に視野に収めるために、立っている位置を少しだけ後ろに下げるに違いない。すなわち最終ラインが下がるということだ。最終ラインが下がれば、その分、中盤に使える場所が生まれる。
実際にはこんなに簡単に最終ラインを下げさせられないが、基本的な方法論は同じだ。FWはあらゆる駆け引きを仕掛けて、相手のDFラインを下げることが求められる。
一方、自分たちのDFについては、この道のことがあてはまる。
相手FWとの駆け引きの中で、簡単には最終ラインを下げず、相手に場所を与えないことが大切だ。
「ボールから一番遠くにいる選手が勝負を決める」
どんなにボールから離れていても、たとえ足を止めることがあっても、思考を止めることは許されない。


●自主性/コントロール/プラスアルファ
(原論)「中盤の右サイドで1人対3人の状況になるかもしれないが、うまくゲームをコントロールしてくれ」とだけ指示されました。
試合が始まり、私がまずしたことは、前に出て守備陣内にポジションをとってみることでした。 ( 中略 ) 
私についてきて守備をするのか、私を放って攻撃をするのか。  25

(原論)海外の場合は ( 中略 ) 指示通りに敵をうまく押さえたとしても、監督や他の選手からは「君は指示通りに押さえたけど、なぜその後になにもしないんだ? 完璧に押さえたのであれば、攻めにも参加すればいいだろう。そこからが君の本領なんだ」と言われます。  27


ムーブ/フットワーク/ランニング/レシーブ
●革)人を外す動き 78
もはや本書おいて、『人を外す動き』という用語はおなじみの〝風聞語録〟、再び補足しておこう。
『人を外す動き』とは、瞬間的にマークを外して、狭いエリアの中でフリーになる動きのことだ。いくつかのパターンがある。

 ・ボールを受ける直前に、相手の重心をどちらかに動かすようにフェイントをかけ、その道をついてフリーになる。
 ・ボールを受ける直前に、相手の視野から外れてフリーになる。
 ・相手の視野から外れておいて、急に目の前に出てパスを受ける。

 この動きを得意にしているのが、スペイン代表のシャビとイニエスタだ。パスを受ける直前に何かしらのアクションを起こし、密集地帯でもフリーになってパスを受けられる。

―― 香川はもっと前を向ける(BVB時代) 80
風間は「前を向く意識」を課題にあげた。
「香川は前にスペースがあるときでも、パスを横を向いて受けたり、後ろを向いて受けることが多かった。実はドルトムントでも、こういう傾向が見られる。ドルトムントでは後ろにサヒンというスペシャルなパッサーがいたので、バックパスをしても問題にならなかったが、もっと前を向く意識がほしい」
サッカー観戦のポイントのひとつに、「どれくらいの距離に相手がいると、選手はプレッシャーを感じるか」というものがある。相手が3メートル前にいると、反転して前を向けるのか。1メートル前でも向けるのか。その距離が、プレッシャーを感じる距離を測る指標になる。

また、香川にも「人を外す動き」に課題がある。
風問は言う。
「ドルトムントで香川が自由にやれているのは、まわりの選手たちがスペースを作ってくれるからだ。これからステップアップするには、ボールを持ってないときに、もっと自分からアクションを起こして、相手を動かすことを覚えなければいけない。今回サイドで苦しんだのは、人を外す動きができていなかったから。
イニエスタは人を外せるので、トップ下だろうが、サイドだろうが、どこでも相手に捕まらずにプレーできる。香川は日本代表の中ではレシーブ能力が高い方だが、まだ相手を動かして、場所を作れるほどにはなっていない」
ドルトムントでは前に相手を引きつけるFW、後ろにパス能力の高いMFがいたため、こういう改善点が表に出づらかったが、本気でバルセロナレベルのクラブを目指すのなら、今回浮き彫りになったことから目を背けず、今後チャレンジしていくべきだろう。


●ターン/ムーブ/レシーブ/トラップ
革)ターンの技量《クオリティ》 167
「よく相手を背負ってボールを受けて、前を向くプレーが重要と言われるけど、当然、このターンにも技術がある。大きく分けると、相手からすっと距離を取ってからしかターンできない選手と、その場でターンできる選手がいるんだ」
「相手からすっと距離を取ってからしかターンできないというのは、ボールを取られるのが怖いからだ。ボールを相手から遠ざければ、取られる可能性は減る。だが、遠ざける分、ロスが生まれるんだ。一方、その場でターンできれば攻撃が速くなる」
「ブンデスの中継の解説でもよく言っているんだけど、まだまだ香川真司は距離を取ってからターンをしている。そこが課題。まだロスがある。ただ、最近その動きを意識しているのか、その場でターンできるシーンが増えてきたよな」
「一方、シャビやメッシはその場でいとも簡単に前を向く。手で扱うかのようにトラップできるからだ」


●革)シュート/アイデア/イマジネーション
第10章 発想を解き放つ風間流の思考法 148
―― 常識を覆す風間流のシュート練習 150 
その日のシュート練習の方法は、次のようなものだった。
工事現場でも使われているような赤いコーンを、ペナルティエリアの枠に沿ってぎっしりと並べていく。コーンとコーンの隙間は、ボール2、3個分しかない。選手たちはコーンの後ろや隙間からシュートを打って、それをGKが止める。
風間監督からゴールマウスの後ろに立って、この練習を見るように言われた。GKになった気持ちで見ろということだ。最初は意図がわからなかったが、風間監督の解説を開くと、一瞬にして目の前で起こっていることの意味がわかった。
風間さんは圧倒するようなオーラを出しながら言った。
「これはGKのタイミングを外す練習だ。GKというのは、ボールがどこから出てくるか見えないと横に飛ぶタイミングを取りづらい。だからコーンを相手の足に見立てて、その後ろにボールを隠すようにしてシュートを打つ練習をする」

「ある意味、前に相手がいた方がシュートは打ちやすいんだよ。相手の足でGKからボールを隠して打てばいいんだから。相手の股の下を抜けるボールもそう。世界でゴールを決めているストライカーというのは、例外なくこの技術を身につけている」

「こういうシュート練習をしていると、GKも鍛えられるんだよ。ぎりぎりまで動かずにシュートを待って、見極められるようになるから」

「ゴールを決めるのに強いシュートなんて必要ない。GKのタイミングさえ外せばいいんだ。あとはゴールマウスのどのポイントに打つかを決定すればいい。まあ、その“決定”が一番難しいことなんだけど」


●革)レシーバーとパサー 82
パスの出し手と受け手というのは、どちらかがレベルアップすれば、必ずもう一方に高いレベルのプレーが要求される。優れたレシーバーが出てくれば ――

●レシーブ/トラップ/ストップ
(原論)プロ選手でも、止めることはできても、そこから50メートルのボールを蹴るにはもう一回ボールを触って、蹴れる位置に置き直すことがあります。それではプレーの速度は当然、遅くなってしまいます。
これは端的に言ってしまえば、自分の「置く場所」が理解できていないのです。
キックがうまいと言われている、世界の一流選手たちは、ボールを「止めて、蹴る」ときはどんな場面でも、置く位置は常に同じです。(日本の選手はキックの種類によって変わってしまう)  90


●アイデア/オフェンス
塾 -- 足を手のように使うという発想 36
みなさんは、ハンドボールやバスケットボールの試合をするときに「相手からボールをどう奪うか」と果たして考えるでしょうか。
当然相手のミスや、相手にシュートを撃たせないということは考えるにしても、まず第一に「自分たちがどういうふうにボールを持って攻めていくか」ということを考えるでしょうし、確実に「相手のゴールにシュートを決めること」を考えるでしょう。私は、これが「球技」だと思います。
( 中略 )
味方の足元に正確なパスを通すことができれば、スペースを探す必要もない。どんな距離でも、正確に、手元から手元へパスを渡していくように、まるでテレビゲームのように足元にピタッとつける。そうすれば当然、プレースピードも上がっていきます。

革)風間のディフェンス哲学 160
サッカーの組織的な守備戦術には、大きく分けて2つの方法があると言われている。ひとつは相手をピッチのサイドに追い込んで、ボールを奪うやり方。もうひとつはピッチの中央に追い込んで奪うやり方だ。
日本代表のザッケローニ監督は前者のタイプで、プレスの練習ではボールをサイドに追い込むように指示する。相手のパスコースを限定しやすい利点があり、ヨーロッパではこちらの万が一般的だ。
一方、女子日本代表の佐々木則夫監督はボールを中央に追い込み、ボール奪取がうまい澤穂希に狙わせるというやり方を採用している。サイドで奪えたとしてもゴールまでの距離が長く、日本人の切り替えの速さを生かすには中央で奪った方がいい、と考えているからだ。2011年6月~7月の女子ワールドカップでは、見事にそれがはまった。
だが、筑波では、こういうサイドに追い込むとか、中央に追い込むといった組織的な守備の指示を一切していない。
いったい風間監督は「守備」をどう考えているのか?
風間監督はこの〝愚問”を、バッサリと切り捨てた。
「サイドに追い込もうが、中央に追い込もうが、結局は相手のミスを待つという発想だよな? そういうやり方だと、基本的に相手がミスをしてくれない限り、ボールを奪えないんだよ」
「じゃあ、どうやったらボールを奪えるかというと、敵と味方の位置を見て、コースを切りながら距離を締めて、相手がパスを出せない体勢になったときに一気に取りに行く。結局、ボールを奪うというのは、個人戦術なんだよ」
風間監督はここで「攻撃も守備も関係ない。サッカーがうまいかが大事なんだ」と言った。

でも90分間ずっとボール保持できない。
その理想と現実のギャップを、風間監督はどう考えているのか?

風間監督は一刀両断した。
「こっちが攻め込んで、相手をペナルティエリアまで押し込んだらどうなる? 相手の組織はめちゃくちゃになるよな。そうなると、たとえボールを奪っても、すぐに前に出てこれないんだよ。相手の組織を壊しちゃえば、そう簡単にやられることはない」
「それとは逆に、相手を受け入れることを前提に守備をすると、まったくサッカーが変わってしまう。だから、センターバックというのは重要なんだ。センターバックが相手のFWを恐れて、相手を受け入れるようなポジションを取ってしまうと、選手どうしの距離が離れてしまう。センターバックは相手のFWと駆け引きしながら、チームの距離をコントロールしなきゃいけない」
とはいえ、ここ数試合、同じやり方(DFラインにプレスをかけられる)でやられているので、風間監督にこんな質問をぶつけてみた。「なぜ、相手がDFラインにプレスをかけてくるのに、それに対応する練習をしないんですか?」
風間監督は、極めて論理的に答えた。
「相手が来たら、ここに人が動いて、こう蹴れ、と指示することはできる。だが、そうやった瞬間、選手から判断が奪われるんだ。指導者というのは、選手の判断の選択肢をいかに増やしてあげられるかが仕事だと思っている」
「ひとつ言っているのは、自分の中で『プレーの保証』を作れということ。たとえば、うまい選手というのは、プレスをかけられても、いつだってクリアできると思ってプレーしている。本当に取られそうになったら、クリアすればいいやという感じで。それがプレーの保証になる。けれど、最初から考えずにクリアしてしまったら、先はない」
「選手の選択肢というのは、どんなにいい選手でも、多くて3つだ。パス、ドリブル、それともうひとつくらい。ただ、選択肢を1から、2や3にできるかで大きを違いが生まれる」

(原論)彼は「1対1の状況だったので、抜かれたときのためにカバーしています」と答えました。適切な答えのようですが、私は彼に次のように伝えました。
「君たちの1対1は負けるための、1対1か? 自分の持ち場に戻りなさい。1対1なんて勝つことが前提なのであって、そんなカバーはいらないよ。そもそも君は自分のところだって敵に勝っていないじゃないか。それなのに人のカバーなんてできるわけがないだろ」(1対1なら負けてしまうという負の発想を捨て去ってもらう努力)  166


●見る
塾 -- 「見る」から「見える」へ ~意識から無意識 185
「見えている選手」は、本当に相手の心理まで見えているかのようなプレーをします。「見えている選手」とは、首を振らずとも見えていますし、あるいは首を振って見ることのできる選手もいます。
しかし、「見えない選手」というのは、いくら身体の向きを作っても「視野の作り方」をいつまで経っても理解できません。つまり、どこから見たらいいのかがわからないのです。
各選手は「見る」ではなく「見える」ように変わっていかなければならないのです。

(原論)私は、チームとして一個の決まりごとをつくるのではなく、敵の見方を教えています。これは「外す」という基本技術に当たり、味方がボールを持ったときに、味方だけではなく、敵も見なさい、ということなのです。
ですから、敵が動いたことが合図になります。
 ( 中略 ) 
重要なことは、そのときに一番いい状態の味方を見ることもそうですが「一番いい敵」を見つけなさい、ということなのです。「一番いい敵」というのは、重心がどちらの足に完全に乗っていたり、誰にマークをつけばよいのか混乱していたり、「僕は無理ですよ」という合図を出している敵のことです。そうすると「ゴールを奪う」という目的さえしっかり持っていれば、最良の判断がくだせるようになるのです。  101

(原論)サッカーでは、場所(スペース)はないときがありますが、敵がいないことは絶対にありません。ですから敵の数だけ、その敵から少しだけ味方が離れることで、攻撃の起点はいくらでも作れるということなのです。  114


●パス/トラップ/見る
塾 -- 足の発想から手の発想へ 45
私は、何度もバルセロナのトレーニングを見ていますが、年々進化しているように感じます。パススピードについても、止める力が高いのでもちろん速くなっていっていますが、最近は浮かすパスを出しても、彼らはみんな止めてしまいます。それによって何が起こってくるかと言うと、「いいボール(パス)を渡す」というのではなくて「触らせる」ことをすれば止めてくれるという発想になってきているように感じます。
ですので、ものすごく余裕を持って相手の状態を見ることができています。相手が奪いにこようとしたときにはもう、その逆をパスで取ってしまいます。そしてその逆を取った瞬間に、今度は「動き」で相手を外してしまいます。


●スピード/見る/アイデア
塾 --  その人が持っている最高のスピードでプレーすればいい 38
みなさんもよくご存じのとおり、サッカーで《最も速い》のは、人ではなくボールです。
だから判断のスピードで人とボールの速さの違いを補う。
そこで重視しなければならないのが《眼の速さ》です。何を見ているか、あるいは何が見えたかによって、グラウンド上で見えるものの数や広さなど、状況判断のスピードを上げる上で必要な情報の量が大きく変わってきます。この情報量の差が、プレースピードの差につながります。
つまり、人が走る速さはそれほど重要ではなく、その人が持っている最高のスピードでプレーすればいいわけです。
もちろん、単純に走るスピードがあるに越したことはありません。ただ、今説明したことができれば、単純な走るスピードに対抗することができるし、それを上回る可能性も十分に出てきます。
そして、何よりそのスピードはどんどん上げることができます。逆に、走るスピードがあるだけという選手は、途中でそのスピードが止まってしまいます。
ボールを手で扱うような《技術のスピード》があれば、私たちは本当にたくさんのことができるのです。

(原論)サッカーでは、場所(スペース)はないときがありますが、敵がいないことは絶対にありません。ですから敵の数だけ、その敵から少しだけ味方が離れることで、攻撃の起点はいくらでも作れるということなのです。  114


●オフェンス/フォワード
塾 -- センターフォワードが取り組むべきこと 164
まず「動きでフリーになる」技術、そしてそれをしっかりと味方から呼び込めるという「パスを受ける能力」が非常に重要になってきます。
クロスに対してのみの攻撃、もしくはクロスが非常に多いのが現在の日本のJリーグ、日本のサッカーだと思います。
ですから、「横からの展開に対してフリーになれる選手」というのは多少出てきていると思いますが、今度は縦のボール、後ろからくるボールや味方に対して自分がどういうふうに受けるのか、あるいは自分がフリーになってどのようにシュートを打つのか。この辺りの技術や認識というものが、日本の選手は少し足りないのかなと思います。
「素晴らしいFW」というのは、例えばラウール・ゴンサレスを見てもらえばわかると思います。
彼は、パサーが一番蹴りやすいタイミングのときに、動きで「合図」をしてくれるので、パスが集まってきます。パスが出てこないと言うFWがいますが、本当にうまいFWはその「動きの質」が非常に高く、味方にパスを「出させてしまう」のです。この動きのできる選手たちこそが、世界で通用していく選手たちです。

(原論)サッカーでは、場所(スペース)はないときがありますが、敵がいないことは絶対にありません。ですから敵の数だけ、その敵から少しだけ味方が離れることで、攻撃の起点はいくらでも作れるということなのです。  114


●育成/成長
塾 -- 育成や成長について
いろいろな面でクラブと学校は違いますが、日本の社会をどのようにうまく利用して、一人でも多くの素晴らしい選手が出てくるように、そして一人でも多くサッカーが好きな子どもたちが育ってくるようにということを考えていくと、まだまだすべての施設、あるいはシステムをうまく利用できているとは思えません。 91

Jリーガーの70%以上が大卒選手と聞きます。 94

塾 -- 自分がもっているボールの値段はいくらか 106
例えば、100円のお小遣いで満足する少年と、1000円のお小遣いでも満足できない少年は、サッカーが上達するスピードが違うかもしれません。
いったい何の例え話かというと、「サッカーがうまくなりたいという欲望に上限は必要ない」ということです。望むことも一人の選手の才能です。自分自身に強く望むこと、自分の目標のさらに上を目指そうとする強い気持ちは、何にも代え難い大きな才能であると私は思うのです。
世界一の選手になりたいと望む子がいたとして、彼が目標とするべきは隣の小学校で最もうまい選手ではありません。少し極端に聞こえるかもしれませんが、彼が目指すべきはメッシやC・ロナウドを越えることなのです。
道を進むにつれて目標達成の妨げとなる障害は次から次へと現れます。それでも、最後まで究極のゴールを見据えて道を歩き続けられること。それができる子どもたちこそが、将来、サッカー選手として大きく成長していくのだと私は思います。
だから指導者は、子どもたちに「上の望み」を抱かせてあげなければなりません。「君がいいと思っているそのプレーを、俺はもっと上のレベルで実現することを望んでいる」。
そうして彼を上の目標に向かわせ、さらに上のレベルに到達することを望ませる。

塾 -- 史上最高を望むという発想 109
自分がもっているボールの値段はいくらか、考えてみて下さい。
それが50円であればすぐにボールを奪われるでしょう。100万円であれば取られにくいでしょうが、1億円のボールを渡されたら、普通の選手は持ちたがらないですね。しかしその1億円のボールを平気で持っている選手たちがいます。それはやはりメッシでありC・ロナウドたちだと思います。
サッカーは望んだ分だけうまくなれます。逆に言うと、望んだところまでしかうまくなれません。
( 中略 )
家が裕福で、食べるものに困らない子が、ハングリーになれないかと言ったら、それは違います。ハングリーさとは、自分自身で作っていくものです。望んだらすべての夢が叶っていくというのが、サッカーのおもしろさだと思います。
そういう意識を持つことで、日常は変わってきます。望みから、うまくなるための発想が生まれ、発想から技術が生まれます。

塾 -- コーチングの陥穽 ~年長者を演じるのではなく成功体験を伝え、本当の「考える力」を刺激する 123
少し間違ってしまうと、「伝えること」をうまくやろうとしてしまったり、あるいは「指導者としての振る舞い」をうまくやろうとしてしまったりします。
しかし選手というのはそういった部分ではなく、指導者自身がうまくいくことを、指導者自らのものとして伝えてもらいたいのです。そして、それで自分がうまくいけば、どんどん自ら考えてやっていくようになります。
いくらコーチが「こういうふうにしろ、ああいうふうにしろ」と言っても、あるいは「今日のトレーニングは非常にうまくいった」と感じたところで、選手自身が試合でうまくいかなければ何の意味もありません。大切なのは、「自ら実行して成功する」ことで、それにより本当の意味での「考える」ことが始まるのです。

(原論)コーチとして指導していた学生の1人に「子どもたちに教えて、子どもはうまくなっているのに、君はうまくなっていないだろ。君もうまくならなかったらもったいないな。君ができてないのは、ずっと君のやり方でしかやってないからであって、聞く耳を持たないからだ。もっとうまくなろうとすればいいじゃないか」  180

(原論)日本の多くの指導者は選手に「教えよう」とする傾向があり、ヨーロッパの指導者は選手を「探そう」とはたらきかけているように思います。  200

塾 -- TPOごとに的確な生活設計をシミュレートする 130
(Q.試合に出られない海外組が増えてきているが)
どこでプレーして、どのようになるのか、そして今何をすべきか……。こういったことが的確でなければいけないと思います。ですから、それは選手自身が考える、あるいは周りでサポートする人たちも考えてあげないといけないと思います。

塾 -- 本物のプロとは 149
一般の方が見ていて「真似のできない」プレーをするからこその、「プロフェッショナル」だと思います。

塾 -- 選手にとって何が一番いい環境か 178
現在は、女子サッカーが広く認知され、非常に「良い状態」になってきていると言っていいでしょう。日本中が女子サッカーに対する理解を深めました。
ここで考えなければいけないのは、今後女子のサッカーチームというものが、おそらくかなり増えることです。これに関して、まずは素晴らしいことだと思います。たくさんの女子プレーヤーが、サッカーをプレーできる環境を作ってあげることは必要です。
とはいえ、もう一つ逆の部分も考えてみてください。このことは女子サッカーの選手たち、例えば何人かのなでしこジャパンの選手と話をしたときも、やはり同様のことを感じていると言っていたのですが、彼女たちがうまくなったのは、彼女たちにとってサッカーをする環境というものがあまりなく、ほぼ全員と言っていいほど、小さい頃は男子の中でプレーしてきたから、ということです。
女子の中で足が速くても、男子の中では簡単に通用しません。女子の中で身体が強くても、男子の中では決して強くないかもしれません。こうした環境で育った彼女たちは、「考える力」とテクニック、特にボールを扱う技術というものを身につけていったのでしょう。

すべてを把握しているわけではありませんが、私が現役時代もしくは引退してから訪れたドイツの様々な地では、かなり早い時期から女子サッカーというスポーツが、男子から独立していました。アメリカでも同じようであるというのを聞いたこともあります。
一方日本では男子高校生や男子大学生が、女子代表と試合するのを受け入れて、女子が強くなっていきました。海外ではそのような光景はまず見たことがありません。
そこがドイツやアメリカと、日本との大きな違いです。日本の女子選手は「技術」でプレーし、ドイツやアメリカの女性選手は「力」でプレーしているように思います。
比較的劣悪だと言われていた、これまでの日本の女子サッカーの環境が、実は彼女たちを上達させ、さらに彼女たちに「考える力」を与えたのです。その結果、日本の女子選手たちがたくましく育ち、やがて大きな華を咲かせたのではないでしょうか。
ですから、何が女子のサッカー選手にとって一番いい環境なのかということをベースに考えなければいけません。ということは、要するにそれは女子に限らずすべてのサッカー選手に当てはまることでもあるのです。
どういうふうにすれば子どもたちが伸びるのか、どういうふうにするとユース年代の子どもは伸びるのか、どうすれば大学生あるいはプロ選手は伸びていくのか。そこのところをサッカーに携わる人として、周りとの環境を考えていかなければいけないと思います。

革)革命へのステップⅢ
 すべての子供に天才性を見出す
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第6章 天才の作り方 102
―― 全員を天才だと思って接する 107
「本当に天才と言われる選手は、子供のときのプレーを、大人になってもそのままやっていますよね。監督として私がやっていることは、選手たちが子供の頃に持っていた発想力を、もう1度、思い出させる作業なのかな」

―― ひとつはっきりわかったのは、人に教えられたことをできて満足しているようでは、絶対に天才の域には達しないということだ。子供のときから、風間さんの中には自分だけの価値基準が存在していた。 110

第8章 日本サッカーを変える育成論 128
―― 心のミスはするな 132
3回目の練習を終えたとき、風間は3人のプレー内容に憤りを感じていた。
「おまえたちを見ていても、本当につまらないよ。おまえらは、チームで何をやらなきやいけないかを探している。こっちの子供を見ろ。何を“しなくちゃいけない”ではなく“したいこと”をやっているだろ?」
風間の指摘は、3人の問題点を的確についていた。それぞれテクニックはあるし、シュートもうまい。たとえば宏希は、密集してボールを奪い合う練習では、豊富なフェイントでただひとりずっとキープを続けた。シュート練習では、慶太郎が柔らかいキックで何度もゴールをとらえ、監督から「いいぞ!」と声が飛んだ。優太はトリッキーなテクニックで、チームメイトを驚かせた。
しかし、3人ともミニゲームになった途端に輝きを失ってしまったのである。ボールを奪ってもドリブルで仕掛けず、最初にすることがフリーの選手を探すことだった。シュートコースが空いていても、クロスを上げてしまう。誰かが攻め上がれば、バランスを考えてスペースを消しにいった。決してチームにとってはマイナスになるプレーではない。だが、まだ子供なのだ。もっとハツラツと自分のやりたいようにプレーしてもいいのではないか。子供のうちからプロのようにプレーしなくてもいいのではないか。
「技術のミスはしてもいいが、心のミスはするな」
 3人の期待が大きいだけに、風間の言葉はより厳しいものになっていた。
( 中略 )
 引退前に過ごしたドイツでの最後の1年間、風間はドイツの子供たちを指導したことがある。そこではみんなが王様であり、誰もがスターだった。今の日本とドイツの子供の差を、身をもって感じている。

たとえ頭のミスを1度したとしても、それを受け入れちゃダメなんだ。失敗なんて恐れず、成功に合わせ続ける。そういう心のコントロールをできるようにならなければいけない ――  158



INDEX
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革命前夜/風間八宏 木崎伸也
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◎目次 8

はじめに 4
 風間八宏の思考法を知ることで、
 誰でも天才に近い目を持つことができる

革命へのステップⅠ
常識を疑う

第1章 日本サッカーの「常識」を疑え 14
第2章 システム論を語る前に理解すべきこと 50

風聞流サッカー観戦術1
TV画面の四隅を意識しながら見る S


革命へのステップⅡ
 正解ではなく、絶対を作る

第3章 風間八宏が解き明かすバルセロナの新常識 62
第4章 日本代表が身につけるペき武器 74
第5章 Jリーグはもっと強くなれる 90

風間流サッカー観戦術2
ボールが動いている問に、ゴール前を見ておく 100


革命へのステップⅢ
 すべての子供に天才性を見出す

第6章 天才の作り方 102
第7章 異端者カサマヤヒロの分岐点 112
第8章 日本サッカーを変える育成論 128

風間流サッカー観戦術3
 背番号が見えるかを気にする 138


革命へのステップⅣ
 規格外の夢を抱く

第9章 日本はバルセロナを超えられる 140
第10章 発想を解き放つ風間流の思考法 148

風間流サッカー観戦術4
選手がボールを持ったときの選択肢を3つか4つ想像する 176


革命へのステップⅤ
 叩きのめす

章11章 革命前夜 178
第12章 革命の始まり 194


付録 本物の天才だけが見えている世界 208

おわりに 218















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