和歌山バガボンド  ~読書と木工、ときどき空想~

黒髪ボブの三十路ピーターパンがWakayamaライフを着流しでスケッチ

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案外、買い物好き( 2007.11) 村上龍

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●絵画についての批評っぽい文章
(オルセー美術館でいちばんびっくりしたのは)有名な「踊り子(ドガ)」のパステル画で、バレエダンサーのチュチュと呼ばれる半透明のスカートがちゃんと半透明に描かれているのだが、色がどう配置されているかがまったくわからなかった。遠目に眺めると本当に半透明に見える。しかし、当たり前のことだが、「半透明」という色のパステルはない。ドガは白と灰色の濃淡を描き分けているのだが、近くでよく見ると、それはていねいな細かい作業というより、感覚と技術で一発で決めた、という感じの半ば即興的な筆致だった。 168

●上海蟹
(上海には、秋から冬にかけて)蟹がある。あるとき蟹を食べてタクシーに乗ったら、「お客さん、蟹を食べてきましたね」と運転手に言われた。手は洗ったのだが、爪の間などに蟹の匂いが詰まっていたようだ。運転手はわたしが蟹を食べたことをなじったわけでもうらやんだわけでもない。淡々とした感じで、「蟹を食べましたね」と言ったのだった。「またやってしまいましたね」と神様に言われているような、背徳的で許されない遊びをしてきたのを見破られたような気持ちになった。 174


●おでんやとイタリアン
以前、友人のイタリア人ジャーナリストを四谷のおでん屋さんでもてなしたことがあった。(おでん屋といっても金持ちの顧客をもつ名店。見た目はふつーのおでん屋。くだんのイタリア人はカワハギの刺身やはんぺん、大根、ジャガイモを食いながら)「東京にはこんなにおいしいものを出す店があるのに、どうしてコンセプトが不明なイタリアンの店があんなにたくさんあって、どこも客がいっぱい入っているんだろう」と質問した。
( 中略 ―― 彼によると、招待された数店のイタリアンは)奇妙な味だったと言った。イタリア料理は、家庭の数だけ味が違うというくらい、それぞれの地方、食材、調理法によって違う料理になるが、東京で食べたイタリアンの店は地方色がなく味がニュートラルになっていて気持ちが悪かった、と言うのだ。 180


●ブランド品の効果
ブランド商品は、人を判断する基準が所属する組織から個人へと移行する過渡期の社会において、自分の経済力やセンスをアピールできる有効なアイテムになっている。( 中略 )個人がいやでも露わになる成熟社会では、ブランド商品の優位性は当分揺らぐことはないだろう。




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