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調べる技術・書く技術/野村進(2008





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調べる技術・書く技術野村進(2008
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インタビュー質問項目 68
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『毎日新聞』のスター記者だった内藤国夫は、「最も多くする質問」の内容を、次のように記している。
①真相はどうなのですか? 
②どうしてこんなことになったのですか? 
③あなたがもし……であればどうしましたか? 
④あなたが、全権を与えられていたとしたら、どうしましたか? 
⑤あなたの長所と短所をお聞かせください。
⑥あなたのセールス・ポイントはなんですか?
⑦あなたが得意とするものはなんですか? 
⑧あなたの特技はなんですか? 
⑨この機会にあなたの自己宣伝をなさってください。
10.あなたは……をどう思いますか? 
⑪あなたは……をどうお考えですか? 
12.あなたなら……をどう処理しましたか?

<仕事や将来の目標については ―― >

⑬あなたが目指すものはなんですか?
14.将来、どういうポストにつきたいと思いますか?
⑮あなたの仕事哲学を聞かせてください。
16.あなたの仕事の楽しさ、苦しさは、どういうものですか?
17. あなたの仕事の社会的位置づけを聞かせてください。
18.仕事の上での自慢話と失敗談をきかせてください。反省することありますか?
⑲これまでに社会にどういう貢献をされましたか?
⑳これまでにあなたがした決断例を聞かせてください。
21.あなたが世に出た、今日ある、きっかけはなんですか?
22.あなたの後継者はだれですか?
23.あなたは後輩や部下をどう導いておられますか?
24.苦しいとき、困ったとき、なにに頼ったり、なにを考えたりしますか?
25.あなたの相談相手はだれですか?
26.…をやってみてどうでしたか?
27.……読んでみてどうでしたか?
28.……に行ってみてどうでしたか?
29.……をどう解決しようとしているのですか?
30.××と●●のどちらをとりますか? 
31.いままでに生命の危険にさらされたことがありますか?32.暴力をふるったことがありますか、ふるわれたことはどうですか?
33.あなたは……さんに会ったことがありますか?
34.あなたがいままでに会ったなかで印象に残る人はだれですか?

35.あなたはなにを信じますか?
36.信じますか?神さまを。
37.金銭と名誉のどちらを重んじますか?
38.あなたのあだ名はなんというのですか?
39.そのあだ名は、お好きですか?
40.あなたに関する、忘れがたいエピソードがあれば、お聞かせください。
41.あなたのストレス解消策はなんですか?
42.あなたの趣味、読書や音楽、芸術についてのお考えを聞かせてください。
43.ヒマになったら、なにをしていますか、また、なにをしていたいですか?
44.あなたの親友はだれですか?
45.あなたの尊敬する人は、だれですか?
46.これまでに経験、体験したことで、印象に残るものはなんですか?
47.食べものでは、なにが好きで、また、なにが嫌いですか?
48.あなたが、もっとも大切にしているものは、なんですか? 
49.あなたの年収、月収をお聞かせください。
50.あなたの財産はなんですか?
51.あなたの男性観、女性観は?
52.あなたの家族構成は?

内藤は、これら五十余りの質問項目をカードにして、インタビューする相手に応じて使い分けていたという(『インタビュー入門』、数字は筆者)
ちなみに、⑮の「尊敬する人」という質問項目について、朝日新聞記者出身の評論家・森本哲郎は、「愚問のようでありながら、けっこう興味ある答が得られる賢間」としている(『「私」のいる文章 発想・取材・表現』)

一方、『現代ヨーロッパの内幕』 や『亜細亜の内幕』などの〝内幕シリーズ〟で世界的に知られたジャーナリストのジョン・ガンサーによると、ある人物にインタビューする際の質問項目は以下のようになる。

①宗教に対する態度は? 
②セックスに対する態度は? 
③名声に対する態度は? 
④金銭に対する態度は? 
⑤動機、重要な決断の例 
⑥愛玩動物の好き嫌い 
⑦野心 
⑧権力の源泉は何か? 
⑨主たる知的特質 
10.主たる道徳的特質、もしあれば欠陥 
⑪とくに何を信じるか? 
⑫娯楽、趣味 
⑬仕事の順序、そのやり方 
14.家族構成 
⑮幼年時代、青年時代の影響 
16.出世のきっかけは? 
17.読書、音楽、芸術などの趣味、もしあれば 
18.最も近い友人はだれか。部下に対する態度 
19.アダ名は? 
⑳飲食物の好みは? 
21.逸話は? 
22.何に貢献したか? 
23.暗殺の危険は? 護衛の方法は? (『ガンサーの内幕』、数字は筆者)

表現は直訳調とはいえ、私も内容的にはほぼ同じような質問を投げかけている。とりわけ、②が聞き出せたら、そのインタビューはかなり成功したと判断できる。④、⑥、⑲、⑳も、意外に忘れられがちだが、相手の人となりを引き出す適切な質問である。
私の場合は、14の家族について、とりわけ両親や兄弟姉妹との関わりを細かく訊く。その人物の〝核〟は、家族との関わりの中で形作られていると考えるからだ。

《遠慮は禁物》
内藤やガンサーのあげた項目を私なりに咀嚼し、基本的に成人に対するインタビューを前提として整理したものを、二十項目にまとめてみよう。

①家族構成、家族とりわけ両親や兄弟姉妹との関わり 
②生い立ち、どんな子供だったか、生活環境 
③子供のころの思い出、忘れられない出来事 
④子供時代と青年時代の夢
⑤影響を受けた人物や本など 
⑥青年期以降、現在に至る個人史 
⑦友人関係、ニックネーム 
⑧現在の仕事に就くまでの経緯とその後の変遷 
⑨仕事の内容と楽しさ、むずかしさ、やりがい 
10.職場での人間関係 
⑪これまでで最も辛かったこと、涙を流したこと
12.長所と短所 
⑬尊敬する人物、最も好きな(タイプの)人物と最も嫌いな(タイプの)人物
14.典型的な一日のスケジュール 
⑮趣味と娯楽 
16.好物、嗜好品、もしいたらペットについて 
⑰金銭観 
18.異性との付き合い、セックス観 
⑲何を信じているか? 
⑳あなたを突き動かしている原動力は何か?

私の場合、⑳のその人物を「突き動かしている原動力」を自分なりにつかめたと実感したなら、インタビューはおおむねうまくいったとみなしている。
パソコンにデータを移すと、そのままテキスト化してくれるICレコーダー


●話の聞き方 88
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《序盤》
取材の目的を簡潔に説明する。
“共感と肯定”相手の立場に立ち、言葉や感情の源泉をイメージする。
場の空気をやわらげる工夫。
通常は相手にとって一番話しやすいと思われる事柄から質問する。
“口は一つ、耳は二つ” ―― 聞き上手を心がける。話の腰を折らない。

場にそぐわない様子で写真を撮ったり、メモ取りに耽ったらダメ。
口調の特徴、口癖は必ず書きとめる。
発言の語尾に注意する。
(だぜ、だよね、だわね、でしょ、っだわな)

相槌はオーバー目に。相手が話しやすい雰囲気作り。無表情はダメ。
相手の声と同じ大きさで話す。(リアクション、言葉遣いも。“同化”)
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レコーダーは出すタイミングが大事。
インタビュー慣れしてない相手なら、レコーダーは使わず、とことん聞かせてもらうことに徹する。
しばらく世間話をしてなごみはじめたら、「かまいませんか?」とレコーダーを取り出す。が、ここで緊張がぶりかえすケースも多い。
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雑学の必要性。どんな相手とも世間話が出来ないと。一回目のインタビューは世間話のみでも構わない。(本当の取材は録音後にあるという格言も)

《中盤》 92
独演会でOK。好きなだけ話してもらう。(口を挟むな)
聞きたいポイントではなく、相手に話したいことがあるはず。それが聞ければ取材は成功する。
こちらが聞きたいポイントは、あとであらためて深く尋ねる。角度を変えたり。
わからないことはその場で訊く。
沈黙を恐れない。自分のほうから話そうとしない。
シーンが浮かんだら、心理やディテイルを尋ねる。(KO寸前のとき目の色が翠色になってた、などと面白い話が聞けたりする)
相手が話したくない話題には、頃合を見て、こちらから思い切って切り出す。相手がその話題の端緒に触れた瞬間がチャンス。

《終盤》 94
失礼か? 怒らせるか? せっかくの雰囲気を損ねるか? 
そういう質問は必ず訊ねること。ひるむ心を揮いたたせろ。
やらないと必ず後悔する。
慎重に言葉を選ぶべきだが、ここが核心に触れるところ。インタビューの山場。

相手が言葉を濁したり、焦点を摩り替えるなら、あらたなアプローチで何度も訊ねる。四回は訊く。それでもはっきりと答えてもらえないなら、終わりのところでもういちど訊ねてみる。

批判的な見解も、本人に伝える。それをしないなら、決して口外しないこと。回りまわって本人の耳に入ると思ったほうがいい。
面と向かって批判も言い、原稿はニュアンスを多少やわらげ、批判に対する当人の反論を載せるのが書き手の道義。


●人物・情景の見方 100
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聞き上手、見ること上手。
取材の二本柱は、話を訊くこと、そして「見る」ことだ。
見尽くせ。ただ、雰囲気はゆったり、相手が話しやすいように。

第三の眼を意識する。
のちに三人称でも描けるくらい客観性の高い現場意識 ――

・人物
目の前にいる人物のどこを描写すれば、読者に臨場感や存在感が伝わるかに留意する。
・顔つき、身体つき
・服装、ファッション、靴
・表情 ―― 特に目と口の動き
・しぐさ、癖 ―― 腕を組む、こちらの目を見ない、手を叩いて笑う、口を手で覆って喋る、貧乏ゆすり
・視覚以外の感覚で感じたこと ―― 声の調子、握手をしたときの手の温かさ、冷たさ、しめりの有無、握手の強弱、体臭(香水の匂いを含む)

・第一印象を書きとめろ
多くのケースで事前のイメージと違う。
その詳細な観察を書き残す。
成功者なのに思っていたより貧相、陽性のイメージがあったがかなりすさんでいる ――
(相手の印象は付き合いに従って変化する。しかし、初対面で感じたことこそ人物の本質に近かったという経験が何度もある)

引用『辺見庸/もの食う人びと (角川文庫)』 103
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「その老人は、ワルシャワの変哲もないビルの一室で、止まった古時計みたいにじっとして私を待っていた。
黒眼鏡のその顔を以前、北京で直接見たことがある。生気があった。肩が怒っていた。いま、別人のように元気がない。頬がたるみ、肌が張りを失っているのは、年のせいだけでもなさそうだ。
ソックリさんという言葉を私は思い出した。よく似ているけれども、実物の気勢を欠いたソックリさん。しかし、この老人は実物なのだ」


・環境 107
取材相手だけではなく、場所やその人物を取り巻く環境にも注目する。
―― 家の全体の雰囲気、門構え、庭の様子、玄関に入ったときの印象など。玄関は“顔”だから、そこに何が置かれているか、壁になにが掛けられているかは最重要。

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総理大臣になる前の細川護煕。
清新なイメージで売り出し中だった彼が、デスクの脇にケネディの写真を飾っていた。野心の臭いを嗅いだ気がした。 108
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絵画や賞状、標語、インテリア、装飾品 ―― 気になるものがあれば謂れを訊ねる。


●インタビューの後 110
“特ダネは二杯目のハイボールから生まれる”
本当の取材は取材のあとから始まる。
お茶や酒席に誘われたら断らないこと。
このとき本音が漏れることがある。

取材相手に信頼してもらえないと話にならない。
人間としての弁えを忘れず、礼節を尽くす。
鬱陶しいくらいでいい。


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執筆・勉強のヒント
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●本の読み方、勉強の進め方 52
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①インタビュー集や対談集を手始めに読む。
②入門書から出発し、徐々にレベルを上げていく。
③対象となる人物や出来事をさまざまな角度から論じている複数の本を読む。
④精読すべき本、通読する本、拾い読みでかまわない本を選別する。
⑤資料としての本は乱暴に扱う。

●原稿を書く 126
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《ペン・シャープナー/自分なりの集中の儀式》
原稿を書くという一点に神経を集中させるのはプロでも難しい。
音、呼吸法、太極拳、掃除、読書、散歩、独り言 ―― 自分にあった方法を見つける。
読めば書くモードに入れる文章を手に取る。
気持ちが高まった瞬間を逃さずに執筆に入る。
(読み続けたらテンションが下がってしまう)

・チャート(画像あり) 129
書き出しはマインドマップっぽいものでもいいかも。
野村さんは文脈を細かに図式化し、タイトルにしても注釈にしても、要約・圧縮のクオリティにまでしてある。

・書き出しに全力を 132

・テーマより人物を描け 147
読者に強く訴えかけたいテーマがあっても、それを押し出すと失敗作になりがち。むしろ人物を徹底的に描くと、結果としてテーマも自然に浮かび上がるものだ。

・声に出して推敲せよ 149

・迷ったら
一人旅にでる。好奇心をもって何でも楽しむ。子供の視点に立ち返る。


輪島功一 113
(若手とのキャンプ。ダッシュのトレーニングではどうしてもビリになる)
「あいつら、90メートルまではダッシュするけど、あとの10メートルは(力を抜いて)流すんだよな。おれは違うもん。100メートル全力でダッシュして、それから流す。たった10メートルの差だと思うだろ? ところが、これが積もり積もって、あとで効いてくるんだよ」



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マイゾーン/林成之
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●「ここからが本番だ」 66
「だいたいできた」で安心しない。
「できた、終わった」と思った瞬間、脳はモチベーションを失う。
「あとすこし」の段階に差し掛かったら「ここからが本番だ」とスイッチを入れる。
(さもなくば、そろそろおしまい……で消灯のクセがついてしまう。全力が出せなくなる)
「水泳に喩えれば ―― ゴールまでのラスト10メートルを自分の“マイゾーン”として、仲間になりたい欲求を喚起し、水と一体化するイメージで。いざマイゾーンに突入したら、ぶっちぎりで引き離すから絶対に負けないとアグレッシブに暗示していく」

よって日々の修練についても「コツコツやる」は不足で、「一気に駆け上がる」イメージで。
(コツコツは、そうでなければ失敗するという潜在意識のあらわれ)

□マイゾーンで「勝ちグセ」を 117
東芝野球部は「7、8、9回」をマイゾーンと考えた。
 ここに入ったらもうこっちのもんだ。
 いいアイデアがどんどん浮かぶし、仕事も進む。
 自分専用の場所であり、最高の舞台。
ふつうは「ここまできたらもう終わりだな……」です。それは脳の血流を下げ、隙が生まれる。
マイゾーンの意識はこれを逆に跳ね上がるチャンスとして捉える。
そして「勝ち方にこだわる(日ごろからイメージしていたディテイル・プロセスの具現化)」こと。

メッシの“七〇センチ” 72
サッカーのメッシは足元七〇センチ以内にボールがあるときはボールを見つづけなくても正確にドリブルしたり蹴ったりすることができるそうです。



●対談系の推薦図書-------------- 107
大森実/直撃インタビュー
立花隆/ジャーナリズムを考える旅
アレックス・ヘイリー/プレイボーイ・インタビューズ
ローリング・ストーンローリング・ストーン インタヴューズ80s

開高健/人とこの世界 (ちくま文庫)
吉行淳之介
大岡昇平
河合隼雄
司馬遼太郎




















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