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パリ・レヴュー・インタヴューⅠ 作家はどうやって小説を書くのか、じっくり聞いてみよう/青山南・編訳(2015)

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パリ・レヴュー・インタヴューⅠ 作家はどうやって小説を書くのか、じっくり聞いてみよう/青山南・編訳(2015)
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チーヴァーの小説観、カーヴァーの人生観、ゴードン・リッシュの奇特な友人、アリス・マンローの母でなしっぷりなど、リラックスしたムードで行われるインタビューで人生や執筆などパーソナルな体験が吐露される。
とくに ―― 都市のシステムとは? 奴隷制度下にあった黒人はいかに愛し合っていたのか? アメリカ社会(経済的先進国の社会環境)において黒人で女性であるとはどういう位置づけにあるのか? 無意識の差別感とは? ―― 全編が読みどころ故ここには引かなかったが、ノーベル賞を受賞したトニ・モリスンのインタビューが富んでいる。
『パラダイス』『ビラヴド』『ジャズ』の三部作は文学界の連山として必読の書。
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<チーヴァー>
ヌード劇場で車のキーをなくしてしまった男の短篇をいま書いている ―― ジョン・チーヴァー 150

●雑然とした本棚、実際的な批評レベル、じき役に立たなくなる本たち 154
チーヴァー ―― わたしは批評のヴォキャブラリーは持っていないし、批評眼もほとんどない。だから、いつもインタヴューから逃げてまわっているんだと思うな。文学にたいするわたしの批評はだいたい実際的なレベルのものだ。好きなものは利用する。なんだっていいのよ。( 中略 )わたしのライブラリーはひどく雑然としていて整理されていない。必要なものをビリっと破いてくるだけだ。作家には、文学を、ずっと続いてきた一連の流れとして見ていなければいけない責任があるなんて、わたしは思っていない。不滅の文学なんてごくわずかだと考えている。これまで何冊もすばらしく役に立つ本には出会ってきたよ。でも、じきに役に立たなくなる、短いね、その期間は、たいてい。

●作文はイノベーション 165
―― フィクションの実験には惹かれますか、突飛なことをしてみたいというようなことはあります?
チーヴァー ―― フィクションは実験なんだよ、そうであることをやめたら、フィクションはやめたということさ、文章ひとつ書くときも、いまだかつてこのようなかたちで文章は書かれたことはなかったという気持ちでかいていないときはない。この文章のこのような重みもいまだかつて味わったことがないという気持ちすらもっていることもある。文章のひとつひとつがイノベーションさ。

●小説の書き出し 168(改行、おれ)
雑誌に書くということは、ガードルの広告や旅行の広告、裸や漫画、いや詩とも戦争するということよ。そんな戦争があるわけだから、やけっぱちにもなる。いつも頭のなかにある常備の書き出し常備の書き出しをひとつ言おうか。
フルブライトの奨学金でイタリアに一年いた人物が帰ってくる。トランクが税関で開けられる。すると、衣類や土産物のかわりに、イタリア人の船乗りの切り刻まれた体があらわれる。しかし頭部だけがない。
また、よく考えるべつな書き出しはこういうのだ。「初めてティファニーに強盗に入った日は雨だった」。

<ボウルズ>
●ジェーン・ボウルズ 199
彼女に最初の発作があったのは1957年で、わたしはケニヤにいた。およそ二ヵ月後にモロッコに戻ったとき、カサブランカでそのことを聞いた。ここ(モロッコ)に来た時には彼女はかなり元気になっていたよ。このアパートにわれわれは別々に二部屋借りた。それからだ、彼女の具合がひどくなって、病院から病院へと忙しく移動するようになったのは、ロンドンへ行ったりニューヨークへ行ったり。1960年代の初めの頃はわりあい良くなったんだが、そのうち神経衰弱で苦しむようになってきた。最後の7年間はほとんどあちこちの病院にいた。でも、16年間は寝たきりだったから。

<カーヴァー>
●書き終えることができる、早くかたづくものを書く必要 220
でも、きつかったですよ、なんとか生きて、いろんな請求書に支払いをし、食べるものをとにかくテーブルにのせて、そうしながら同時に、自分は作家なのだと考えて、書く修練を積んでいくというのは。クソみたいな仕事をし、子どもを育て、書くことをつづける。そういうことを何年間もした末に気づいたんです、書き終えることができる、早くかたづくものを書く必要がある、とね。長編に、二年も三年もかかるひとつのプロジェクトにとりかかっている余裕はないんだ、と。( 中略 )かくして、詩や短篇になったということです。そして、自分の人生は ―― なんていうか、自分が願っていたものとはちがうものなのだ、と考えるようになった。いつもフラストレーションの塊でしたよ ―― 書きたい、しかしそのための時間と場所が見つけられないというような。( 中略 )アルコールが問題になりました。なんというか、あきらめて、降参して、フルタイムで飲むようになったんです、日々の務めのように真剣に。

●うまく行かない人たちの人生 227
―― あなたの登場人物たちはなにか大事なことをしようとしているのですか?
カーヴァー ―― しようとしていると思います。でも、しようとすることとうまく行くこととはべつなことですから。(中略 ―― うまく行く人はいるし、すごいが)いちばんやりたいことが、大小にかかわらず人生の支えとなるものがうまくつかめないひとたちがいる。そいう人生こそが、もちろん、書くにはふさわしいんです。うまく行かない人たちの人生。( 中略 ―― 私の小説に出て来る人物たちのほとんどは“この行動が大事なものになってほしい”と願っている)しかし、同時に、そうはならないと承知しているところにまで来ているんです ―― じつに多くのひとたちがそうであるように、もうぜんぜん意味がない、と思っている。かつては大事なことだと思い、必死に求める価値のあるものだと考えてたものが、一銭の価値もなくなった、と。自分の人生が不快なものになり、人生がこわれていくのが目に見えている。なんとか立て直したいが、しかし、できない。そしてたいていの場合、かれらはそういうことがわかっていて、そのうえで、やれる範囲でベストなことをしてるんだ、と思います。

●ゴードン・リッシュ、ユニークな友人 238
一九七〇年代の早くに「エスクァイア」にわたしの短編を載せはじめた編集者でした( 中略 ―― 友人としては1967か1968以来)。週に最低一回は、昼飯を食べにこないかと誘ってきました。かれ、自分は食べないんです、わたしのためになにかを料理すると、テーブルのまわりをぐるぐるまわりながらわたしが食べるのを観察しているんです。こっちは落ち着かないですよ、想像はつくと思うけど、それで結局はいつも皿に残してしまうんですが、するとそれをかれが食べるんです。おれはこういうふうに育てられてきたんだとか言いながらね。

<ジェームス・ボールドウィン>
●すごくすごく自己中心的な問題 272
ボールドウィン ―― 多くの白人のアメリカ人 ―― そういう言葉をつかわせてもらうけど ―― の抱えている問題は退屈なものでさ、すごくすごく自己中心的だ。悪い意味で。自分が勝手に思い描いている自己像にすっかり左右されすぎてる。

●どうしたら作家になれる? 275
―― 若い作家志望者がやってきて、おなじみの必死な質問を投げかけてきたら、なんと答えます? どうしたら作家になれますか、と訊かれたら?
ボールドウィン ―― 書け、だね。生きつづけて書いていられる道を探せ、だね。ほかに言うことはないよ。

<アリス・マンロー>
●物書きの性分 355
マンロー ―― 育児放棄をしてたわけじゃありませんが、専念しているとはとても言えなかった。いちばん上の娘は、二歳の頃、わたしがタイプを打っていると、そばに寄ってきました。そのたびに、わたしは片手で彼女を追い払い、もう片方の手でタイプを打っていた。 
●なかなか真似できない美しさ 357
ウィリアム・マックスウェルの『では、また明日』

●文壇を避ける訳 
マンロー ―― (時間がない、母だからなど浮かぶが)怖いから、とも翻訳できます。だって、自信をなくしていたでしょうから。自分に理解できない話をたくさん聞かされる羽目になっていたでしょうから。

●ウィリアム・マックスウェル『先祖たち』について 365
あかれのやりかたで見習わなければいけないことは、家族史を同時代の大きな出来事にくっつけるということです ―― かれの場合、一八〇〇年代の宗教復興です ――









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