バガボンド和歌山

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【 トワイエ0001 】カロリー

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「残念な呑み会」の翌日、(やっぱり1対1で話す方がいいなー)とか(目的のはっきりしない集団の呑み会は焦点がぼやけて苦手だ……)みたいな反省があり、ぐったり後遺症で虚しかったんです。

場のせい、店のせい、相手のせいとはいえません。
そもそも自分が元気100%ではなく、カルチャーやスポーツに対しても関心が薄れています。
対人コミュニケーションにも支障が出ている点こそが、誰かと喋っていても熱くなれないことの主因です。

と、急に語り始めた ―― 「トワイエ」というエッセイを連載することに決めたのは、毎朝のラジオ体操のように体の調子を整え、リズムを作ろうと思ったからです。下心(笑)

でなくとも ―― でなくともというのは、昨日の呑み会の件ですが、その前、その前々と外食していて、これは太るな、と。
「太るな」というのは「太ってくれるな!」ではなく「太っちゃうなぁ……まいったなぁ……」のニュアンスですが、まいってるわりには店のメニューをひらき、カロリー無視で食いたいものを頼む虫、いや蟲、太ってる蟲なんていないですよね。いないというか生存できない。
ながらく、肥満とはブルジョアの証でしたし、腹まわりに贅肉のチャンピオンベルト巻いて誰と闘うのか。(“贅”肉!)
「いいや、おれたちゃ毎日戦争してる気分だぜ、なんとなくずっとそう」っていうのは矢作俊彦さんが2.30年前に言語化した戦後のハードボイルド感ですが、我々はいまカロリーと闘っている。いや違う。燃やしきれないカロリーを身にまとい鬱々としている。これはなんでしょうね。

燃やしきれない? 
それも違うかな。
燃やすつもりがない。こっちのほうが正確かもしれない。
燃えない。燃えないカロリー。
燃えないカロリーって、それはもうカロリーじゃないか。

残念な呑み会=カロリーゼロですね。
あの場には燃えるものがなかった、とまた人のせいにする。責任回避は原点回帰、いずれぼくのところに戻ってくるブーメラン?

それと、燃えない原因は、ぼくの炎が消えているからです。
だから、あの場にカロリーがあったとしても……交換していたんだとしても……燃焼させられなかったはず。

じゃ、燃やされないカロリーはどこへ行くのか?
さんざん喰ったんですよ、鳥や豚、牛を。
脂肪なら腹だとか腕だとか顎や首みたいなところに体積していくけれど、燃やしきれない対人カロリー、人と人との間で受け渡されたり取り込んだり、預かることになる心のカロリーはどこに溜まっていくの?

心の淀みの成分かなーとも思うんですよ。
思い出すのは煙のたたない油田の風景ですね。


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カロリーに色はついているんでしょうか?
カロリーアレルギーという人間はいませんか?
ビタミンは? カルシウムアレルギーの人は?

探していたんですね、前までは。
絶対の文体。
絶対の対象、主題、構成。
絶対の傑作。

好奇心の源泉はここにあって、おそらくぼくの炎でした。
あなたがピアノを弾き続けているように。
腰をやっても、骨を折っても、耳が聞こえにくくなっても、88の鍵盤を叩くことをやめずに生きているように、ぼくも絶対の小説を探していた。できることならぼく自身がそれを書きたかった。願っていた。それこそ悪魔と握手してだって大傑作をものにしたいという野望が大油田、野心が種火だった。

なにもかもつまらない、なんていえないんです。嘘です。
余華のエッセイは素晴らしい。
幸田文さんのエッセイとまた違ってすばらしい。
構成はあるのに自由に書いているように読める。
G=マルケスのようなテリングのセンスも感じられる。視点・視線が低く、つねに死線が視野に入っている。文革前後の中国は、ギャングだらけだったメキシコ、フアン・ルルフォの魂を渇かせたメキシコの血みどろに重なる。暴力と不正、権力の漲り。年齢と性差による差別、縦社会の割り切りによって切り刻まれる個人。余華は端的かつ的確に描写していく。それが回想につながる。個人と小説家の回想、中国の田舎と都市部の記憶、その想起。

鬱々としてるときの自分はゼロカロリーの悪魔。
だからってなにもかも退屈なんて嘘で、余華の小説やエッセイのように面白いと思えることはあるんです。
「あにぃ、あんたがつまらねぇ男に成り下がってるだけでしょぉ」
そ う で す よ ね、と間の空いた返事、するしかありません事変。
広島番外編の松方弘樹の声で頭カチ割れそう。

朝のラジオ体操。
無反省で無修正の一筆書き、下心のみですすめられる陳述。
ぐだぐだしているのにも飽きたし、ブルジョアでいたい。似非ブルジョア。ない金を食い潰しながらその日暮らしをしている和歌山バガボンド。ドラ息子。バカ兄貴。いつまでこうしているつもりなのか ―― という問答から復帰し、やるべきことをやりたい。生活費を稼ぎ、取り組みを再開し、もういちど火を。かなうならば火柱を立てたい。火炎の勃起。


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なんにもしたくねぇよ……って滅入るのは毎夏のこと。馴れているけれど今年はいつになく酷い。
必要かなぁメンタルケア……自己啓発……?
ゲゲゲと来れば鬼太郎ですが、目玉おやじにしても哂いがとまらないでしょうね。

メンタルケア! 自己啓発! ゲゲゲだな鬼太郎! ちゃんちゃんこに包んで棄てちまえ! 

なにかしら取り組み始められた時点で回復していて、続けなければ落ちるというのは嘘で、この一筆書きにしてもどうせ続かない、すぐに飽きるだろうけどやってみよう。やってみた時点で回復してるんです、かなりの部分で。まぁ、それはそれとして。

耳の具合はいかがですか?
本番が近づいてますね。
9/9の19時でしたか。両国のコンサートホール。
レパートリーに含まれるベルクとリゲティだけじゃなく、電子楽器とのコラボレーションするとは、挑戦ですね。
先生は来てくれそうですか?
顎鬚の恋人は?
ピアニスト同士のカップルって付き合っていくのは難しい気がしますが、うまくいってますか?
セックスはどうですか?
あの夏の夜のことは憶えてらっしゃいますか?
憶えているけれど忘れたふりをキメるのが大人の振る舞いですか?
心に土足で踏み込んだら死刑ですか? 
それとも無期懲役? 
裁判?

弁護のしようがないカロリーゼロの呑み会の翌日、ある人とマンツーで食事をしまして、家も近いし楽だなーと。楽したぶんのカロリーはどこへいくのかな? なんて妄想してます。
妄想とはカロリーですね。
なんだ、火が消えたわけじゃないのか。
ずいぶんと小さいものだけれど火はあった。種火かもしれない。火事になるかな、なんてね。考えたりします。火傷くらいかな、とか。火遊びするつもりはないんですよ。そもそもぼくはフリーだし。ああ、色恋の話しではなかった。

カロリーが注がれたらどうしよう。
囁いたり耳打ちされたり?
やめておけって声が聴こえるんです。
いけよ、なに躊躇ってんだよ、って声もするんですよね。
バッハの対位法みたいに。
高橋悠治さんのリズムで交互に繰り返される。

やめておけよ
やれよ
やめろよ
やっちゃえよ

相手を自宅近くまで送ったあと、ひとりカラオケに行きました。数年ぶりだったなぁ。いつぶりだろ。喉を潰しながら2時間くらい、真夜中に熱唱したんですが、ふと気づいたんです。ぼくの右手が悪魔のそれだってことに。いつから? あいつと握手したのは7年くらいい前だったから、あの頃から? それか、ひょっとしたら、握手した悪魔こそ、ぼくの方だったんでしょうか? 手の甲だけじゃなく、手のひらにまで黒い毛でびっしり覆われている。こんな手で人に触れるなんて酷い。剃ってもあっという間に生え揃う。悪魔の手の毛って凄い。凄いカロリー。

PCに付けていたWI-FI用のUSBレシーバーが壊れました。









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