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世界文学のフロンティア6から 水辺で/森の中で ジョナス・メカス 飯村昭子・吉増剛造訳




世界文学のフロンティア6」から
水辺で森の中で ジョナスメカス 飯村昭子吉増剛造
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水辺で

(p70)
6 
岸辺ニ
坐ってる
ひとりノ
男。

彼は
みつめている
水ニ映ル
空のさま

草ノ葉ノ
さざめきヲ

(タダ)それから
フタタビ
目を
あげて

遠い距離を
見る。  



森の中で

( 中略 ―― p73 )

いつも
大きな
円を
もっと
もっと
大きな
円を
心の中に
刻みつける
そして
また
同じことを
やって ――

フタタビ
フタタビ
試みる
近づこうと
近づこうと
言うに言えない
その意味に
私の生の
目的に ――

なにかが
聞こえるたびに
初めから
考えなおす
考えなおす
だが
けっきょくは
(ティーラ)沈黙
(ティーラ)沈黙

(ティーラ)沈黙!
無言
だ、とは
つゆ
知らず

つゆ
知らず、
思考の
裏が
無だとは

答エ

どれも
(ティーラ)沈黙
(ティーラ)沈黙
――
ティーラ

信じられないが
私は
だまって
前ニ進ム

あてもなく
モノタチ
モノタチ ―― 、

触れる
触れる
そうして
近づく ――

冷たい
目で
ものたちは
凝視する
凝視する
そして
そして
そのまま
そのまま
開カズ
モノ言わず

私の生の
共-犯-者。


沈黙とは映像だろうか?
沈黙とは言葉か?
メカスのリリック、メカスのフィルム ――
過剰なまでの肯定感とは至福ではなく、平和でも平穏でもなく、圧倒的なラディカリズムだ。
メカスは歪んでいる。
メカスのくぼ、ゆがみ、ひずみ ――
おうおうにして暗闇や影のたまりになり、作り手はそれをトレースしようとするのに、メカスはここを光のみで満たす。
このことの異形さ、異様さ ――
貫徹された意志、徹底的な抗いなくして、光しかない世界など撮れるはずはない。
メカスを世界の肯定者とするのは間違いではなくとも、けっして和平の賛美者ではない。もちろん平和主義者でもない。
光のレジスタ。
幸福や肯定をもって最大抵抗を試み続ける精神の際立ちに撃たれる、貫かれる。











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