和歌山バガボンド  ~読書と木工、ときどき空想~

黒髪ボブの三十路ピーターパンがWakayamaライフを着流しでスケッチ

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ベケット戯曲全集1

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ベケット戯曲全集1 安藤信也・高橋康也共訳
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『ゴドーを待ちながら』
ポッツォ ある日、目が覚めたら盲だった、まるで運命の神のように。(間。)ときどき、まだ眠ってるんじゃないかとも思う。 172

『クラップ最後のテープ』
そこにじっと動かずに横になっていた。だが、おれたちの下では、すべてが動いていた、そしておれたちを動かしていた、やさしく、上に下に、右に左に。 278



sketch ――
「ある日、目が覚めたら盲だった」と告白させたあと、情緒も感傷もなく、「まだ眠ってるんじゃないか」と続けさせるところがベケットの残酷さ(リスペクトを込めて)だ。

すっとぼけている感じ、おおざっぱで人間味というよりはどことなく田舎臭くて、魂も掟もひょっとしたらエゴだとかイドといわれる意識を司る「自意識」でさえも、ベケットのまえでは相対化され ―― 皮肉なまでに相対化され ―― いつのまにか大量のモノローグとなっている。

一文、一文 ―― センテンスからブロックにかけて流れに乗って読み進めるだけでは何が書いてあるか掴みづらい。それはお決まりの文脈(ハリウッドで量産されているような物語の定型)から外れていて、さらにはこれまで語られていなかった(そうそう話題に(言葉に)されていなかった)感覚や雰囲気、ニュアンスが述べられているからだけれど、それは「述べられている」と言えるかどうかが微妙なところで、というのは一語一語のつながりのなかに想起し、発生し、創出されるダイナミズムがベケットの面白さでもあるからだ。

ダイナミズム。
エネルギッシュで生命の根源的で、いまここで何かが生まれているという立会いの感じ ―― さらには、ベケットの場合はその体感が高尚な形而上学だとか偏差値の高い分析ではなくて、小便漏らしながら娼婦に叩かれ続けてる小男(そんな人物はいなかったかもしれないが)だったりする。
人生? そんなものはとっくに終わっていて、いいや、実のところ始まってすらいないし、どうでもいいそんなことの意義やら意味やらは呑みすぎた酒といっしょに吐きこぼした……という飽いた感じ。
飽いた感じ?
まあ、そんな観想が浮かぶベケットの ―― エストラゴンやマーフィやマロウンの ―― その語りを辿っていると、鬱や鬱屈やうんざり感を突き抜けたところに拓かれていく ―― それはなんだろうな、なんだろう。

うんざりして、落ち込んで、真っ暗で、明日死ぬという男の語りを聞いていると、どうもそれだけではない何かに触れる感じがあるんだ。

つづいてマロウン、そしてモロイへ。









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